自閉症の原因にディーゼル車の排ガス
ディーゼル自動車の排ガスは、呼吸器疾患や花粉症の原因である可能性が高く、健康被害の元凶の一つとされています。
そのため、ディーゼル車の規制が強まってきていますが、このところ社会的な問題となっている自閉症の発症原因にもなるのではないか、との話題です。
ご存知のように、自閉症は言葉の発達の遅れや、対人関係が苦手となるなど、社会活動を困難にするものです。
脳の機能障害があるとされていますが、今のところはっきりした原因は分かっていません。
しかし、典型的な自閉症は日本に約36万人、広汎性発達障害の人も含めると約120万人にものぼり、更に最近その増加が懸念されているものです。
非常に気になる報告でしたので、お知らせいたします。
これは栃木臨床病理研究所の菅又昌雄所長らのグループが、カナダのモントリオールで開かれた国際小児神経学会で発表したものです。
研究では、妊娠中のマウスに、大都市で見られる汚染地域の2倍の濃度に相当する1立方メートル当たり0.3ミリグラムの濃度のディーゼル排ガスを、1日12時間、約3週間浴びせました。
次いで、生まれた子マウスの小脳を採取し、分析しました。
その結果、細胞を自ら殺す「アポトーシス」と呼ばれる状態になったプルキンエ細胞の割合は、きれいな空気の下で生まれた子マウスは2.4%だったのに対し、ディーゼル排ガスを浴びた親マウスから生まれた子マウスでは57.5%にまで増加している事が分かりました。
また、雄マウスは雌マウスに比べ、この割合が高かったそうです。
ちなみに、人間の場合も、自閉症発症率は男性が女性より高い傾向がある事が分かっています。
さらに、プルキンエ細胞の数も、排ガスを浴びたマウスから生まれた子マウスでは、きれいな空気下で生まれた子マウスの約1.7分の1に減少していることも明らかになりました。
実際、自閉症では小脳のプルキンエ細胞の減少が見られるとの報告があり、ディーゼル排ガスによりプルキンエ細胞の消失などをおこし、精神神経疾患の原因となる可能性があるとしています。
また、特にヒトの場合はマウスに比べ胎盤にある浄化装置が少ないため、ディーゼル排ガスの影響を受けやすいと警告されています。
勿論今回の報告は、ディーゼル排ガスは自閉症の原因の候補のひとつであるとしか言えませんが、今までも何かと健康被害の原因とされているものだけに、極力吸い込まないような注意が必要と思われます。