ヒトの鼻に、性フェロモンのセンサーが存在

<ヒトの鼻に、性フェロモンのセンサーが存在>


 性フェロモンの存在が最初に確認されたのは、カイコの性フェロモンです。

 カイコの求愛は、先ずオスがお尻を高く上げて性ホルモンを放出します。
 すると、その性ホルモンに引き寄せられてメスがやってきて、交尾に至ります。
 このカイコの交尾は非常に激しく(?)、5時間〜6時間も続きます。また、その際のオスーメスの結合も強固で、手で引っ張ったくらいでは簡単には外れないほどだそうです。

 カイコといえども中々のものなのですが、その求愛の元となるフェロモンについては、哺乳動物にあるかどうかは明確になっていませんでした。

 よく週刊誌などに、“異性をひきつけるフェロモン配合の・・・”などの宣伝がありますが、ヒトにフェロモンの分泌器官やセンサーがあるかどうかは明らかにはなっていないのが現状です。

 ところが、性フェロモンを検出する特異的なレセプターがマウスの鼻から見つかり、ヒトにもありそうとの報告がありました。

 これはシアトルにあるハワードヒューズ医学研究所のStephen Liberles博士らが、世界的に権威のある科学誌ネーチャー誌(Nature)に報告したものです。

 この研究者らが、マウスの尿の中にある化学成分を感知するセンサーの有無を調べたところ、鼻の中に3種類のセンサーがある事が分かりました。

 これらのセンサーは、トレースアミン関連受容体(trace amine-associated receptors (TAARs))と呼ばれるもので、普通よく見られるような、単に匂いをかぐためのものとは異なるものだということです。

 そのうちの一つはストレス関係物質を感知するものと考えられましたが、後の2つはオスやメスの尿中に存在する性フェロモンを検出するもので、少なくとも一つは交尾の際に性欲を高めるためのフェロモンであると考えられるそうです。

 次に見つかったセンサーの遺伝子を調べたところ、同様の遺伝子がヒトにもあり、面白い事に魚にも存在する事が明らかになりました。

 以上の結果から、性フェロモンは広く生物に共通しているもので、ヒトの鼻にも性フェロモンの受容器があるのではないかと述べられています。

 媚薬は古来からの夢の惚れ薬ですが、このような性フェロモンが媚薬として世の中に出てくる日も近いのでしょうか?