メスの涙にオスの性的興奮抑えるフェロモンが

<メスの涙にオスの性的興奮抑えるフェロモンが・・・>



オスを惑わすこともある、メスのフェロモンのお話です。
メスの涙の中には、オスの性的興奮を抑えるフェロモンが含まれているのだそうです

これは、東京大学の東原和成教授(応用生命化学)などのチームが、権威ある英国科学誌ネイチャーに発表した内容です。


論文タイトル: A juvenile mouse pheromone inhibits sexual behaviour through the vomeronasal system
科学誌名: Nature (2013) doi:10.1038/nature12579 Published online 02 October 2013
著者: D M Ferrero, K Touhara,S D Liberles 他


生後2〜3週間の幼い雌マウスの涙に、「ESP22」と呼ばれるフェロモンが存在しているそうです。
そこで研究チームは、ESP22を分泌するグループと、生まれつきESP22を分泌しないグループに分け、このメスマウスに対する雄の行動を調べました。

するとオスマウスは、ESP22を分泌している雌には興味を示さなかったのに対し、ESP22を分泌しない雌に対しては3〜5倍多く交尾行動を行ったそうです。

更に、ESP22を分泌していない雌にESP22フェロモンを塗ると、交尾行動が止まりました。

また、オスにあるESP22を感知する器官を調べたところ、鼻腔の下にある「鋤鼻(じょび)器」という感覚器官で感知され、本能的な行動を制御する脳の領域を刺激していることが分かりました。

以上の結果から、幼くて繁殖能力がない雌マウスの涙の中に含まれるESP22フェロモンが、雄の性的興奮を抑えていることが明らかになりました。

昆虫を始め、性的興奮を誘うフェロモンは色々と知られていますが、抑制する働きを持つものが見つかったのは哺乳類では初めてだそうです。

ちなみに人間にはESP22がなく、このシステムは働いていないということですのでご安心を。