子どもを怒鳴るのは、叩くのと同じ

<子どもを怒鳴るのは、叩くのと同じ>


 子供のしつけは本当に難しいものです。

 今回、思春期の子どもをしつけるために親が怒鳴ったりすると、叩くのと同じように子供に抑うつ症状出たり、或いは子供が攻撃的な反抗をおこす可能性があることが明らかになりました。

 これはピッツバーグ大学の研究者らが、チャイルド・デベロップメント誌に発表された内容です。

論文タイトル: Longitudinal Links Between Fathers’ and Mothers’ Harsh Verbal Discipline and Adolescents’ Conduct Problems and Depressive Symptoms
学術誌名: Child Development published online : 3 SEP 2013, DOI: 10.1111/cdev.12143
著者: Ming-Te Wang and Sarah Kenny


 研究は、13~14歳の子どものいる家庭976世帯を追跡調査したものです。
過去1年間に、子供をしかる際に親はどういう態度を摂ってしかったのか、また子どもには、その際自分がとった行動、精神状況などの聞き取り調査を行いました。

 その結果、母親の45%、父親の42%が、叱る際には子どもにかなりひどい言葉を浴びせていたことが分かりました。

 そして、そのようなひどい言葉を受けた子どもは、叱られた後には同年代の子どもとのケンカ、学校でのトラブル、親へのうそ、抑うつの兆候といった問題が増える事が明らかになりました。 また、親が戒めとしてひどい言葉を使った時と、体罰としてたたくなどの場合では同様に、その後に発生する問題の増加する割合が高く、これらの悪循環をおこす傾向が強まっていたそうです。

 研究者によると、怒鳴られることがこれほど悪影響を与える理由は、「思春期は(子どもが)自分のアイデンティティーを確立する非常に微妙な期間」であるためだとしています。

 即ち、親が怒鳴ったりすると、子どものアイデンティティーに対する自己像が傷き、自分の能力や価値が見いだせなくなってしまうため、なのだそうです。


 昨今日本でも、学校や家庭における体罰が問題になっていますが、手を上げなくても、口で怒鳴ったり、ののしったりすることも、子供の精神発育には非常に悪い影響を与えるという訳です。

 そしてその代わりに、「自分は両親に認められ、愛されている」、「自分の行動に責任を感じる」ことを、子供のしつけの中心に置いた方がよさそうとの事です。