DHAがアルツハイマー痴呆の予防に有効

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青魚に多く含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)が、アルツハイマー痴呆を抑制することが、最近話題となっているiPS細胞を用いた研究で明らかになりました。

これは京都大iPS細胞研究所の井上治久准教授らのチームが、米科学誌セル・ステムセルに発表したものです。

論文タイトル:Modeling Alzheimer’s Disease with iPSCs Reveals Stress Phenotypes Associated with Intracellular Aβ and Differential Drug Responsiveness
著者:Takayuki Kondo他
医学誌名:Cell Stem Cell, 21 February 2013 10.1016/j.stem.2013.01.009


ご存知のように、アルツハイマー痴呆は認知症の中でも最も多く、患者さんの脳内ではAβ(アミロイドベータ)と呼ばれるたんぱく質が過剰に蓄積することが分かっています。
そのため、細胞内ストレスが起きて神経細胞が死滅し、記憶障害などを引き起こすと考えられています。

今回の研究では、50〜70歳代の男女の患者さん4名の皮膚から、ノーベル賞を受賞された中村教授の方法に従って、iPS(人工多能性幹)細胞を作製しました。
次にその細胞を神経細胞に分化させ、Aβが細胞内外に過剰に蓄積する、アルツハイマーに特有な現象を再現しました。

そこで、このAβが蓄積した細胞に低濃度のDHAを投与し、投与しなかった場合とで、2週間後に死滅した細胞の割合を比較しました。


すると、DHAを投与した場合では、細胞死の割合は15%であったのに対し、投与しなかった場合は2倍以上の32%に上ることが分かりました。


以上の結果から、DHAの摂取がアルツハイマー痴呆の発症予防に役立つ可能性があるとされています


なお、この実験だけでイワシなどの青魚を食事で摂ることが有効であるとは言い切れませんが、かなり有望な結果です。
また、新薬の開発などにつながると期待されています。