数学が苦痛で本当に痛みも感じる:数学不安症?

<数学が苦痛で本当に痛みも感じる:数学不安症?>


数学嫌いの人が計算問題の解答を想像するだけで、不安などに関する脳の中枢領域が活性化して、不安症や疼痛が起こることが分かりました。

これは、米シカゴ大学などの研究チームが米科学誌プロスワンに発表したものです。

論文タイトル: When Math Hurts: Math Anxiety Predicts Pain Network Activation in Anticipation of Doing Math
著者:Ian M. Lyons & Sian L. Beilock
医学誌名:PLoS ONE: Research Article, published 31 Oct 2012 10.1371/journal.pone.0048076


研究では、数学に強い苦手意識を持つ14人と、苦手意識をあまり持たない14人の成人に、単語に関する問題と数学の問題を解いてもらいました。
そしてその時の脳の反応を、fMRI(機能的磁気共鳴断層撮影)装置を使って調べました。
なお、出題の前には、予め次に出る問題が単語か数学に関するものかを教えておいたそうです。

その結果、数学が苦手な人に数学の問題が出ると予告すると、物理的危険や身体的危害に関連する脳の領域(島皮質後部や帯状皮質中部など)が活性化することが明らかになりました。

即ち、数字アレルギーの人は、計算問題を出されると考えるだけでも、脳の中枢部が反応するという訳です。


興味深いことに、不安が起こるのは(出題を)予期している間だけで、実際に計算問題を解いているときは、苦痛を感じているようではなかったそうです。
つまり、計算そのものが痛みを伴うのではなく、それについて考えることが苦痛だということのようです。

また、著者によると、今回の発見が計算以外の物事にも当てはまり、別の恐怖症に対しても一般化できるとしています。

そして、この苦痛を和らげるには先ず不安を克服することが大切で、もっとリラックスして事に当たることが肝心としています。


なお、下にこの研究で用いられたテストを示しましたので、あなたが計算への不安から苦痛を感じるタイプかが分かります。
(注:実際の実験では、問題は1度に1問ずつ出題され、1問につき5秒で回答。また、すべて暗算で行うこと)

≪問題≫
1. 次の計算式は正しい? 8×9−16=56
2. 次の計算式は正しい? 7×8−19=37
3. 次の計算式は正しい? 5×9−16=27
4. 次の計算式は正しい? 8×5−19=23
5. 次の計算式は正しい? 6×7−17=27
6. 次の計算式は正しい? 9×4−17=19