ビールの成分が、前立腺がんの予防に効果
<ビールの成分が、前立腺がんの予防に効果>
忘年会シーズンが近づいてきましたが、ビール党に朗報です。
ビールに含まれている成分が、将来前立腺がんの治療に使われるようになるかもしれないという話題です。
この成分は、ホップに含まれているフラボノイド類のキサントモール(xanthohumol)といわれるビールの苦味成分です。
今回の研究で、この成分が、前立腺がんを起こす男性ホルモンのテストステロンを抑制することが明らかになりました。
これは、ハイデルベルクにあるドイツがん研究センターのClarissa Gerhauser氏らが米国ヒューストンで開かれた米国がん研究学会で発表したものです(2009, Dec. 9)。
以前の研究でも、キサントモールは、女性ホルモンのエストロゲンがその受容体に結合するのを抑制することから、乳がんの予防に効果があると考えられています。
今回の研究では、まず試験管内の実験で、ホルモン依存性の前立腺がん細胞にテストステロンを添加したところ、前立腺がんのマーカーである前立腺特異抗原PSAの分泌が高まることを確認しました。
つぎに、これにキサントモールを同時に加えたところ、このPSAの分泌量の上昇が抑えられることが明らかになりました。
そして、その効果は、キサントモールの添加量に依存して強まっていたそうです。
また、キサントモールは、テストステロンレセプターに結合してPSAの産生を抑制することも、別の実験で明らかになっています。
更に、去勢したラットを用いて、キサントモールとテストステロンを同時に注射したところ、キサントモールが前立腺に対するテストステロンの悪影響を抑制し、前立腺がんの予防に有用であると考えられました。
また、この実験では前立腺そのものの重量は変化しなかったことから、キサントモールは前立腺組織の遺伝子発現やホルモンのシグナル機構に対して抑制作用を示すと考えられています。
但し残念ながら、いままでの疫学調査では、ビールを飲む人に前立腺がんが少ないという報告はないそうです。
従って、ビールそのものを飲むことが前立腺がんの予防になるとは考えにくく、特にビールを薦めるわけにはいかないと研究者は述べています。
また、今回の結果がそのままヒトにも当てはまるかどうかも、今後の研究で明らかにする必要があると結んでいます。
ということですので、今後の研究の進展に期待することにしましょう。
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