漢方成分のカンゾウ(甘草)が、大腸がんの予防に有効
<漢方成分のカンゾウ(甘草)が、大腸がんの予防に有効>
甘草とは、マメ科カンゾウなどの根のことで、甘い味がすることから甘い草、カンゾウと名づけられました。
お菓子などの甘味料としても使われていますが、なんといっても古来から漢方薬に使われている代表的な生薬のひとつです。
主成分として、グリチルリチン、リクイリチン、イソリクイリチゲニン、リクイリチンリクイルゲニンが含まれており、鎮静・鎮痙作用、鎮咳作用、肝機能改善作用、肝細胞障害抑制作用、肝保護作用、抗消化性潰瘍作用、利胆
作用、抗炎症・抗アレルギー作用、抗糖尿病作用、抗動脈硬化作用など、様々な効果がうたわれています。
このようにカンゾウは漢方薬のメインのものですが、今回新たに大腸がんの予防にも効果があることがわかりました。
特に、他の化学療法のような強い副作用がないため、新たな大腸がんの予防法として期待されています。
この報告は、バンダビルト大学医学センターのRaymond Harris博士らが、臨床医学誌Journal of Clinical Investigationに報告したものです。
その結果によると、大腸がんの発生に関与すると考えられている、11β-ヒドロキシステロイド・デヒドロゲナーゼ・タイプ2 (11βHSD2)と云う酵素が、カンゾウにより抑制されることが、ヒトの細胞やマウスを用いた実験で明らかになったということです。
この研究者らは、大腸ガンでは11βHSD2が強く発現しており、逆にこの酵素を阻害すれば大腸がんの進展を抑えることが出来ると予想しました。
そこで、ヒトの大腸ポリープやマウスの大腸ガンにおける11βHSD2の発現を調べたところ、11βHSD2酵素がマウスの大腸ガンやヒトの大腸ポリープで増加している事が確認できました。
つぎに、カンゾウに大量に含まれている甘味成分のグリチルリチンを、11βHSD2に与えたところ、この酵素が顕著に阻害される事が明らかになりました。
勿論、今後更にカンゾウの大腸ガンに対する有用性を詳しく調べる必要がありますが、非常に期待できる成果です。
また、カンゾウ自体には強い副作用は無いものの、長期間の服用により低カリウム血症や血圧を上昇させる可能性がありますので、今後はこの問題についても考慮する必要があります。
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