大腸憩室の患者さん:ポップコーン、ナッツ、豆類等を避ける必要は無

<大腸憩室の患者さん:ポップコーン、ナッツ、豆類等を避ける必要は無い>


大腸憩室と云う症状をご存知でしょうか?

憩室疾患は大腸に起こる疾患で、そこに便が詰まったり、バクテリアが増殖して炎症が発生します。
実は、先日夜中に急にお腹が痛くなり、そのまま入院した経験があります。

症状は炎症から始まり、出血、感染症、そして穿孔が発生する場合もあります。
60歳までの米国成人の1/3が、また85歳までには2/3が憩室症となることがわかっており、繊維質の少ない食事が関係しているとされています。
また排便の際の腹圧が、大腸に憩室を作る原因と考えられています。

さて、英国などでは、大腸憩室の患者さんは、ポップコーン、ナッツ、種や豆類等を避けるようにと言われています。
このような食べ物が大腸憩室に挟まって炎症を起こすからと言う訳です。

ところが、ワシントン大学のLisa Strate博士によると、このような一般に信じられている事は正しくなく、そのような食品を食べても問題がないと、米国医学会誌the Journal of the American Medical Association(2008, Aug. 27 issue)に発表しています。

この研究では、1986年〜2004年の間に行われた、長期間の医療関係者を対象とした追跡調査を調べなおしたもので、対象者は40歳から75歳までの47,000名の男性です。
なお、研究開始時にはこれらの人は大腸憩室の症状はなかった人です。

これらの男性について、2年ごとの医学的検査結果及び4年ごとの食事内容について分析しました。
すると、18年後には、801名が憩室炎を発症し、383名が大腸出血を発症していました。

これらの人について、ナッツ類を多く含む食事をする人と、摂取量の少ない人に分けて比較したところ、ナッツを多く摂った人では、憩室炎になる人は逆に20%も少ないことが明らかになりました。
また、ポップコーンを沢山食べる人では、28%少なくなっていたそうです。

以上の結果から、このような食物を摂っても大腸憩室症や複合憩室疾患のリスクを高めることはないとされています。
また、この結果は女性にも当てはまると考えられるということです。

即ち、以前から言われているようなナッツ類を避けるようにとするとよいという考えは、考え直した方よさそう、としています。


大腸憩室炎はどなたも罹り得る症状ですので、貴方も、頭の隅に入れて置かれたら良いと思います。


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