癌療法の前に絶食すると、効果が高まり、副作用もなくなる

<癌療法の前に絶食すると、効果が高まり、副作用もなくなる>


癌化学療法の前に絶食すると、抗癌剤による細胞毒性作用などの副作用が低下し、悪性細胞だけを攻撃する効果が高まることが明らかになりました。

癌治療における抗癌剤の副作用は、多くの患者さんが最も不安を感じている点で、今後の治療方針に大きな前進をもたらすのではないかと期待されています。

これは、南カリフォルニア大学Norris癌センターのValter D. Longo氏らが、米国科学アカデミー発行のProceedings of the National Academy of Sciences(PNAS, 2008, March, 1st issue)に掲載したものです。

この研究者は、ヒトやラットの細胞を用いた実験で、細胞を飢餓状態におくと様々なストレスに対して抵抗性が高まることを見つけました。

そこで、脳腫瘍細胞を移植したマウスに、副作用で悪名高い抗癌薬のエトポシドを投与する実験を行いました。

エトポシドを投与する前に、絶食させておいたところと、絶食しない場合は43%が死亡したのに対し、絶食マウスでは死亡率が大幅に低下することがわかりました。

また、絶食させたマウスでは、運動障害、体毛の乱れ、姿勢の悪化などの副作用も認められなかったそうです。

 これらの結果から、この研究者は、短期間の絶食により正常細胞が保護され、癌細胞のみ治療することが可能と結論しています。

そして今後は、ヒトを対象とする試験を準備しているということで、化学療法につき物とされていた副作用の問題を解決できるのではないかと期待されています。


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