手術後の癌の転移は、ストレスや恐怖感を少なくすることにより抑えら

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<手術後の癌の転移は、ストレスや恐怖感を少なくすることにより抑えられる。>


癌は転移がなければ、それほどこわい病気ではありません。
外科技術の進歩により、ほぼ完全に病変部のみを除去することができるからです。

しかし、癌摘出手術の問題点として、手術後に急に癌転移が促進されることがあります。
一旦転移が起こると、もはや手がつけられなくなるので、この癌転移を抑えることが近年の癌治療
法の重要な課題です。

今回、癌除去手術の後の転移には、精神的なストレスが大きく影響していることがわかりました。
そして、このようなストレスを減らすと、転移も起こりにくくなることが明らかになりました。
今後の癌療法に強いインパクトを与えるものと期待されますので、その話題をお送りします。

これはテルアビブ大学心理学部Shamgar Ben-Eliyahu教授が、脳関連医学誌the journal Brain,
Behaviour, and Immunity(2008, March issue)に報告したものです。

手術後の精神的なストレスは、免疫系に強く影響することはよく知られていますが、医学関係者の
間では、そのような心理的な面はあまり注目されていませんでした。
むしろ免疫力の低下は、手術による物理的なダメージによるものであると考えられていた訳です。

そこでこの研究者は、精神神経免疫学と呼ばれる新しい学問領域に注目し、手術後の精神的なス
トレスが重要ではないかと考え、調査をしたのだそうです。

実験として、担癌動物から癌の切除手術を行う際、アドレナリンなどのストレスホルモンの分泌
を抑制した場合における手術後の癌転移の頻度を調べました。

その結果、通常のストレスホルモンを分泌した場合に比べて、ストレスホルモンの分泌を抑制す
ると癌の転移が抑制されること、また癌切除手術後の生存期間も2-3倍に延長することがわかりま
した。

これらの結果から、手術の前後での心理的なストレスが免疫機能に悪影響を与え、免疫力を低下
させて癌転移を促進させるとしています。

従って、癌摘出手術などの強いストレスが起こる際には、なるべく精神的にリラックスして、ス
トレスホルモンの分泌を抑えることが癌の転移抑制に重要で、その様なケアを取り入れるべきで
あると結論しています。


今回の結果は、動物モデルを用いたものですが、今後2-3年以内にヒトを対象とした臨床試験を開
始するということです。

一日も早くその効果が実証され、癌のケアに取り入れられることを切に祈ります。


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