感情的に不安定な人ほど創造的で、新しいアイデアに富む。

● 感情的に不安定な人ほど創造的で、新しいアイデアに富む。


 笑ったと思ったら、すぐに怒り出す・・・こんなに人は身近にいませんか?

 そのような感情の起伏の激しい人は創造力が高く、アイデアパーソンである
可能性が高いのだそうです。

 これはワシントン大学ビジネススクールの Christina Ting Fong氏が、管
理職向けの専門誌the Academy of Management Journal(2006, Oct. issue)
に発表したものです。

 それによりますと、感情の起伏が激しく不安定で、いつも躁の状態と鬱の状
態が入り混じっている人は、いつもニコニコとハッピーな人や、逆にいつも沈
んでいて悲しそうな人、或いは感情の起伏の乏しい人よりも、創造力に富む事
がわかりました。

 この結論は、次の2つの研究によるものです。

 最初の実験では、102名の大学生に、今までの人生で体験した感情的な出来事、
例えば、幸福を感じたときや悲しみの時、或いは感情が昂ぶり起伏の激しい時を
思い出してもらいました。
そしてその当時の生活の変化、仕事や学業の成績などについて調べました。

 すると、幸福な感情の時、悲しい感情の時、或いはそのどちらでもない場合は、
生活活動にはあまり変化が無かったのに対し、感情の起伏が強い時には、創造的
な活動性が高まっていたそうです。

 次にこれを確認するため、第2の実験では138名の学生に、1)感情の起伏の
激しくなるような映画、2)全然面白いと感じないような映画、3)単に楽しい
映画、4)逆に悲しくなる映画を見てもらい、その後に心理テストを行いました。

 その結果、1)の感情の起伏を引き起こす映画を見た後には、感情が変化する
ことのない2)の場合に比べ、明らかに創造力が高くなっている事が分かりまし
た。
 また、3)の楽しくなる映画や、4)の悲しくなる映画を見た後でも、そのよ
うな創造性は高まることは無かったそうです。

 以上の結果から、刺激を受けやすい環境にいる人は、プラス或いはマイナスの
入り混じった感情になりやすく、またその状況を克服するために創造力が必要と
なる事が多く、それが習慣づけられたため、と考えられるそうです。

 そして、そのような感情の起伏が高まる環境は、集団生活を維持するにはネガ
ティブな状況ですが、そういう状況にあってはじめて、創造力豊かな状況を作る
としています。

 また、管理職の女性は、通常の従業員女性よりも感情の起伏が激しいとよく言
われます。
 そこでそのような管理職女性について調べたところ、いずれの人も高い創造性
を持ち、発展的な仕事をする傾向が強いことがわかった、と述べられています。


 この論文を読んで、画家のゴッホ織田信長などを思い出しましたが、確かに
このような人達は、激しい感情とともに創造力をもっていますよね。

 では逆に、創造力豊かな人は、そのような激しい感情の持ち主ばかりなのでし
ょうか?

 創造力のある人と共に働きたいと思うのですが、その人があまりに感情的な人
物では、ご免こうむります。


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