西洋人と東洋人:判断・記憶法が異なる

● 西洋人と東洋人:判断・記憶法が異なる


 人種差別ではないのですが、白人や黒人と我々東洋人とでは、物事のとらえ
方・判断の仕方などが異なり、超えられない生物的な差があるのではないかと、
昔から思ってきました。

 ところが、このような人種差が実際にあり、それは目の動きと密接な関係が
あるとする論文がありましたので、お知らせします。

 これは米国Michigan大学のHannah Faye Chua氏らが、権威のある国際科学
誌の一つ「米科学アカデミー紀要(Proceeding of National Academy of Science,
2005, 論文タイトル Cultural variation in eye movements during scene
perception)に報告したものです。

 研究では、ボランティアの米国人及び中国人に、コンピュータのディスプレ
イ上で画像を見せ、その際の目の動きを観察しました。その後、時間をおいて
から再び背景だけを変えて同じ写真を見てもらい、同じものであるかどうかを
認識できるかどうかを調べました。

 その結果、米国人は対象物に迅速に目を向けて、より長く注視するのに対し、
中国人では、背景を見る時間が長く、また視線をあちこちに動かす頻度が高か
ったそうです。
 そして、米国人は対象物を注視してそれ自体の情報を多く認識するのに対し、
中国人ではより広範な情報を得て、背景との関係から対象物を認識する傾向が
強いことが分かりました。

 これらの結果から、西洋人は分析的であるのに対し、東洋人は全体的な把握
を通して、物事を判断するとしています。
 また、目の動きの差が、判断と記憶における文化的な差をもたらしており、
たとえ環境が同じでも、目の前の現象の異なる面を見て、異なる方法で記憶し
ている可能性があると述べられています。

 物事の考え方の差は、このような物理的・生物学的な差に由来するとしたら、
やはり人種差を越えられないものなのでしょうか?


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