タミフルの疑惑:米国でも?

タミフルの疑惑:米国でも?


 現在、国内では、インフルエンザの特効薬であるタミフルをめぐって、さま
ざまな疑惑が起こっています。
 タミフルを飲んだ青少年が異常行動を起こすのではないか、ということがこ
との始まりですが、最近発刊された週刊朝日の増大号には、タミフルをめぐっ
ての製薬企業と研究者の癒着がスクープされており、先日このHPでも取り上げ
ました(2007年3月26日号)。

 ところで、考えてみれば、タミフルについては以前からいろいろと、疑惑があ
りました。
 特に、米国政府を舞台にした大スキャンダルがあったのですが、あまり日本で
は知られていませんでしたので、改めて取り上げてみました。

 これは、ブッシュ政権のリーダーであった、ラムズフェルド国務長官が、タ
ミフルで大儲けをしたというものです。

 以前から、ブッシュ一族は、現ジョージ・ブッシュ大統領の父親の代から、世
界の平和を標榜しながら、実は戦争などの脅威を利用して儲けるほうが得意であ
ると云われています。
 私の友人の米国人は、”米国の恥だ”とまで云っているほどです。

 ところがブッシュ一族を取り巻く人々は、さらに抜け目がなく、特にラムズ
ェルド氏のビジネスセンスはずば抜けています。
 手元に、米CNNの2005年10月31日の報道がありますので、その記事をお伝えしま
す。

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 鳥インフルエンザ大流行の予測は世界の人々をパニックに陥れているが、ギリ
アド・サイエンシズ社の株を所有するラムズフェルド国防長官やその他政界関係
者にとっては朗報だ。
 カリフォルニア州に本拠を構えるバイオテック企業ギリアド社は、インフルエ
ンザ治療薬として現在世界中から注目されている『タミフル』の特許を所有してい
る。
 1997年からブッシュ政権入閣までの2001年の間、ラムズフェルド国防長官はギリ
アド社の会長を務めており、現在でも同社の株を保有しているが、その評価額は500万
ドルから2,500万ドルの間であることが、ラムズフェルド氏自身による連邦資産公開
申告書で明らかになった。
 申告書ではラムズフェルド氏が所有する株数の詳細は明らかになっていないが、
過去6ヶ月間における鳥インフルエンザ大流行の懸念とタミフル争奪戦の予測により、
ギリアド社の株価は35ドルから47ドルに急騰。これにより、すでにブッシュ政権
で最高額の資産を持つ国防長官は、少なくとも100万ドル以上資産を増やしたことに
なる。
 スイスの医薬品大手ロシェ社が製造販売しているタミフル(ギリアド社は販売額
の10%のロイヤリティーを受け取っている)で利益を得た政界有力者はラムズフェ
ルドだけではない。
 ジョージ・シュルツ国務長官はギリアド社役員として、2005年度に入ってから
同社の株700万ドル分を売却している。
 他にも、前カリフォルニア州知事の妻ピート・ウィルソンがギリアド社の役員に
就任している。
「政界とこれほど繋がりの深いバイオ企業は他に類を見ない」サンフランシスコの
シンク・イクイティ・パートナーズ社アナリストのアンドリュー・マクドナルド氏
は評している。
 さらに重要なことは、合衆国政府が世界最大のタミフル購入者であるという事実
だ。
 今年7月には、米国防総省は兵士への配給用に、5,800万ドル分のタミフルを注文
しており、議会も数十億ドル分の購入を検討中である。
 2005年度におけるロシェ社のタミフル売り上げ予測額はおよそ10億ドルで、前年
度は2億5,800万ドルであった。(以下略)

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 勿論、お金儲けがいけないというわけではありません。
 しかし、世界中の人々の健康に強い影響を及ぼすを守るべき米国政府の要人の行
動であり、更に直接に薬を通して人々の健康に貢献すべき製薬企業の関係ですので、
大いに気になります。


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