妊娠中のビタミンD:子供が成長して高齢になった時でも、骨粗鬆症を

● 妊娠中のビタミンD:子供が成長して高齢になった時でも、骨粗鬆症を予防
できる。


 骨粗鬆症(こつそしょうしょう)対策は、高齢化社会を迎えた日本の大きな
課題です。
 将来寝たきりにならないためにも、是非とも若いうちからその対策を講じて
おく必要があります。

 この骨粗しょう症を予防するには、お母さんが妊娠中にビタミンDを多く摂
っておくことが重要で、将来その子が大きくなって高齢になった後には、骨粗
鬆症になりにくくなると考えられるそうです。

 これは、ニューヨークにある関節疾患専門病院(Hospital for Joint Diseases)
骨粗鬆症センター長のStephen Honig博士らが、英医学誌「Lancet」(Lancet,
2006, Jan. 7)に報告したものです。

 研究では、1991年および1992年に英サウサンプトンの病院で出生した小児198
例を対象に、妊娠期間の母体の体格、栄養状態およびビタミンD値をしらべ、
また、出産後に小児が9歳になった時の体格および骨量を測定しました。

 その結果、母親の妊娠後期にビタミンD値が低かった場合は、その子供の骨
塩量も低いことがわかりました。
 一方、母親がビタミンDを補充しており、かつ日光にあたった場合では、ビ
タミンD欠乏症となる割合は低い事が分かりました。
 また、臍帯(さいたい)血中のカルシウムが低値の場合も、骨量が低下して
いる事がわかりました。

 これらの結果から、妊娠後期にビタミンDの補充が不十分な母体から生まれ
た子供の骨は脆弱(ぜいじゃく)で、後年その子が骨粗鬆症になるリスクを高
めているとしています。

 逆に、妊娠中の女性が自分の栄養に気をつけておけば、一世代後の子供がお
年寄りになった後でも、その効果が続くということです。

 骨粗鬆症は、閉経との関係を述べた論文は多くありますが、もっともっと早
い時期の妊娠時の状態も、後年大きな影響を与える可能性があるわけです。

 また、この論文によると、日光量の少ない冬場に妊娠後期が重なる場合には、
特に子供の骨を強化するため、ビタミンDの補充をするよう勧めています。


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