バイリンガルの人は、痴呆症になりにくい。

バイリンガルの人は、痴呆症になりにくい。


 英語は長年やっていますが、未だに、満足な英会話には、程遠い状況です。
 まあ、それでもボケ防止によいかと思い直して、頑張っているところですが、
今回、バイリンガルの人は痴呆になりにくい、という研究結果が報告されまし
た。

 カナダの科学者が、長年にわたって2カ国語を話すバイリンガルは、1ヶ国
語しか話さない人に比べて、痴呆症になるのが4年も遅れるという、驚く結果
を見出したというものです。

 この研究は、Baycrest老化及び脳研究所(the Baycrest Research Centre
for Aging and the Brain)のRotman研究施設所属のEllen Bialystok博士ら
がみつけたもので、神経心理学誌Neuropsychologia(2007, February, Vol.45,
No.2)に報告されたものです。

 研究では、2002年から2005年の間に、Baycrest's Sam and Ida Ross Memory
Clinicで診察された184名の痴呆患者さんの検査記録を調べました。

 そのうち、91名はモノリンガルの人で、93名はバイリンガルだったというこ
とです。
 これらバイリンガルの人の言語は、25カ国語にも上り、特に、ポーランド語、
イディッシュ語(米国や東欧などのユダヤ人移民の間で話される、ヘブライ語
ドイツ語、スラブ語が合わさってできた言語)、ドイツ語、ロシア語及びハンガ
リア語が多かったそうです。
 また、このうち132名の患者はアルツハイマー痴呆で、残り52名はその他の痴
呆症でした。

 これらの患者さんの認識能力を示すMMSEスコア(Mini-Mental State Examination)、
教育歴、仕事などのデータを解析したところ、MMSEスコアは、バイリンガル
モノリンガルの人も同程度で、機能的障害のレベルは同等だったそうです。

 次に、機能障害が初めて観察された時期を調べたところ、モノリンガルの人は
平均71.4歳だったのに対し、バイリンガルでは75.5歳と、驚く事に4年もの差が
あることがわかりました。
 文化的な違い、移民歴、教育歴、職歴及び性別などを考慮しても、その差は明
らかだったそうです。

 研究者らも、使用する言語の数によってこのような大きな差があるとは思って
いなかったということで、言語中枢をよく使用することにより、知覚神経が活性
化されるのではないか云った程度しか現時点では云えないようです。

 運動や教育、社会活動などのライフスタイルと、痴呆症になりやすさについて、
さまざまな研究が進められていますが、今後の更なる研究が待たれます。


 バイリンガルとまでは行かなくとも、英語を勉強すれば、すこしでも効果があ
るのではないかと期待して、この話題を取り上げてみました。


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