がんの初期診断の誤診率は12%
● がんの初期診断の誤診率は12%
先日、私の友人が、”がん”で亡くなりました。
つい数ヶ月までは、一緒にお酒を飲み交わしていたのに、残念でなりません。
そして、ご家族の事を考えると、いたたまれない気持ちになります。
さて、未だに癌は死因の一位で、難敵の病の一つです。しかし、最近の医学
の進歩のおかげで、早期発見すれば、以前ほど恐れる必要はなくなってきてい
ます。
実際に、早期診断技術の進歩には、目を見張るものがあります。
ところが、カナダ、中国および米国の研究チームによる調査で、ガンの初期
診断での誤診率が非常に高いこと明らかになりました。
米ピッツバーグ大学医学部病理学教授のStephen S. Raab博士らが、がん関
連医学誌Cancer(オンライン版、2005, Nov. 10)に報告したものです。
これは2002年から行われている調査プロジェクトで、がんの誤診率を低下さ
せ、検出率を改善するため、米国の中部大西洋岸および中西部地域の4施設を
対象とした調査です。
それによりますと、がん患者さんの12%が初期段階で誤診を受け、そのため
に、再検査、治療の遅れ、医療費の増大、患者さんの不安の増大など、おおき
な問題を引き起こしている事が分かりました。
誤診の原因として、誤った組織や血液の標本採取と病院検査室での誤った結
果判読の2点が挙げられ、検査ミスがほとんどだということです。
この結果から、誤診発生の監視基準を作り、発生頻度や原因、誤診の影響を
施設間で比較する、統一した評価システムを設ける必要性が訴えられています。
また、年間12万8,000人の米国人が誤診による損害を被っているとして、医
療団体に誤診の評価基準、およびガイドラインの確立を積極的に支持するよう
働きかけています。
幸いなことに、そのようなケースはほぼ例外なく、医師が再検査を要すると
判断し、がんの適切な診断が可能という事ですので、先ずはひと安心です。
しかし、ガンの可能性があるというだけでも本人や家族は大ショックです。
誤診率が極力低下する事を、願って止みません。
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