食物繊維:大腸癌の予防効果は疑問!

●食物繊維:大腸癌の予防効果は疑問!


 以前から、食物繊維を食べると大腸がんのリスクが低くなるとされています。
 そのため、特に赤身肉を食べる際には、セロリなどの繊維分の多い野菜を食
べる人が多くいらっしゃいます。私もその一人なのですが・・・。

 ところが今回、総合的に判断した結果、食物繊維にはそのような大腸癌の予
防効果は得られないことが報告されましたので、お知らせします。

 これは、ガン研究の世界的機関である米国立がん研究所(NCI)のYikyung Park
博士らが、米国医師会誌JAMA(2005, Dec. 14)に報告したものです。

 今回の研究は、以前報告された13件の研究を再検討したもので、合計72万5000
例以上の患者データを基にしたものです。

 以前の報告では、食物繊維の摂取量が20%多い人は、大腸癌発症率が16%低
いとされていました。
 ところが今回、総合ビタミン剤や葉酸の投与、赤身肉や牛乳、アルコールの
摂取量などの因子について調整して分析しなおしたところ、「食物繊維の摂取
量が多くなっても、大腸癌発症リスクが減少するという、逆相関(反比例)は
認められなかった」そうで、食物繊維を多く摂っても、大腸癌の予防効果は見
られないという事です。

 今まで「食物繊維」の定義が曖昧で、可溶性の繊維分と予防効果があるとさ
れる不溶性のものとでは大きな差が認められ、いままでの研究では明確な区別
をせずに調査が実施されてきたためではないかという事です。

 しかし、大腸癌は国内でも増加中の癌で、その撲滅が国家的プロジェクトで
行われています。そして、食物繊維の大腸癌予防効果については、広く信じら
れていますので、更なる詳細な研究が望まれます。


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