カシスに抗腫瘍性効果:日本農芸化学会報告
●カシスに抗腫瘍性効果:日本農芸化学会報告
今年度の日本農芸化学会大会が京都で開催されましたが、この大会において
“カシス”に抗腫瘍性活性がある事が報告されました。今のところ動物実験の
段階ですが、新しい治験ですのでお知らせします。
カシス(Cassis)は、スグリの一種のユキノシタ科の落葉樹で、ヨーロッパ
原産の植物です。果実はお菓子や果実酒に利用されており、ジャムのグーズベ
リーと云った方が馴染み深いかもしれません。
今回の発表はメルシャン株式会社の研究陣が報告したもので、カシス果汁に
含まれる多糖類(ポリサッカライド)に強い「抗腫瘍効果」が存在する、という
ものです。
メルシャンでは、これまでもカシスに含まれる多糖類には強い免疫賦活作用
がある事を見つけ、その成分をCAPS(カシスポリサッカライド:cassis polysaccharide)
と命名していますが、今回はこのCAPSには更に抗腫瘍効果もある事が分かった
というものです。
実験では、CAPSを1週間毎日経口投与したマウスに対して、腫瘍細胞(エール
リッヒ腹水癌)を移植し、更にこのマウスに2週間にわたってCAPSを毎日1回経
口投与しました。
次にマウスの腫瘍の重量を測定して、CAPSの抗腫瘍効果について調べたそう
です。
その結果、CAPSを経口投与したマウスは、投与しなかった対照群に比べて、
腫瘍の増殖が51%も抑制されていることが分かりました。
この結果は、抗ガン剤として知られている「ピシバニール」や「アドリアマ
イシン」を腹腔内に直接投与されたマウスと同等の結果で、強い抗腫瘍性効果
があるとの事です。
今のところ動物実験の段階ですが、カシスは食品として使われているほど無
害でありますので、先ずは副作用の危険性は少ないと思われます。また、経口
投与の実験ですので、胃を経て取り込まれる可能性が高く、臨床応用も容易で
あるように思われます。
今後の成果が期待されます。
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