教育レベルが高い人は、アルツハイマー病の進行スピードが速い

●教育レベルが高い人は、アルツハイマー病の進行スピードが速い

 超高齢化社会の訪れとともに、認知障害(痴呆)の方が本当に多くなってき
ました。そして、痴呆症状は出たものの、ある程度で納まっている方がいらっ
しゃる半面で、頭脳明晰な方が突然発症し、見る見るうちに痴呆症状が悪化さ
れてしまう方もいらっしゃいます。

 不思議に思っておりましたところ、今回、教育水準の高い人はアルツハイマ
ー病の発症そのものは遅いのですが、いったん症状が現れ始めると、認知能の
低下速度が速まることが報告されましたので、お知らせします。

 これはコロンビア大学医療センターのNikolaos Scarmeas博士らが医学誌
Journal of Neurology, Neurosurgery and Psychiatry(2006,March)に報
告したものです。

 調査では、65歳以上ですでにアルツハイマー病と診断されているニューヨー
ク在住の312例を対象に、5年間以上に渡って追跡調査をしたもので、その間
に脳の諸機能を調べました。

 その結果、全体では認知能は1年あたり9%の低下する事が分かりました。
 次に教育歴との関係を調べたところ、教育を受けた期間が1年長くなるごと
に、1年あたりの認知能低下スピードが0.3%づつ速くなっていました。
 特に、思考過程の速度(1年あたり0.6%)および記憶(同0.5%)に最も強
い影響があったという事です。

 この結果から、教育水準の高い人は脳細胞の数が多いか、或いは脳のシステ
ムやネットワークが効率的になっていると考えられ、このため脳の一部が破壊
されてもそれに対処する余裕があるのですが、このような人では、それまでに
脳の変化が蓄積しており、臨界点に達した段階で一度に崩壊が起こり、急速に
悪化すると考えられるそうです。

 ではどうしたらそれを防げるかが重要となりますが、教育歴に限らず、何時
までも頭を使い続けるのが有効のように思えます。

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