性がなくなると、生物は絶滅する

●性がなくなると、生物は絶滅する

 生物には、我々のように男女の二つ性がありその間の交配による有性生殖
行うものと、バクテリアのように単にそれが増殖していく無性生殖の生物の2
つの種類があります。

 今回の研究で、無性生殖は一定の環境下でその生物が存続するには都合がよ
いのですが、環境が変化する場合は有性生殖する事がその生物の繁栄に必須で
ある事が分かったという事です。

 これは現代進化論では当然とされているものですが、最近のDNA研究で確認
されたという内容です。
 英国Imperial College LondonのMat Fisher博士らがPLoS Pathogens誌に
報告したものです。

 研究では、無性生殖で増殖できる青カビPenicillium marneffeiの遺伝子を
調べました。ちなみにこのP. marneffeiは人の免疫系が弱ったエイズ患者など
に感染して病気を起こす青カビの一種です。

 この青カビは胞子を形成しますが、この胞子は風に乗って長距離はなれた場
所にも飛び廻る事が出来、その新天地で新しい生活を始めます。
 ところがこの青カビは有性生殖が出来ないため、新天地に舞い降りても新し
い環境に適応した子孫を作る事が出来ず、やがて絶滅してしまうそうです。

 即ち、この青カビのDNA構造の研究から、環境への適応は無性生殖だけでは充
分でなく、メスとオスの交配による有性生殖が必須である事が確認された訳で
す。

 高校の生物で習ったと思いますが、有性生殖の過程で減数分裂時に父親と母
親の遺伝子が混ざり合う遺伝子組換え反応が起き、両親とは異なる遺伝子構造
が作られます。勿論、大まかには父親或いは母親の遺伝子がそのまま受け継が
れるのですが、この遺伝子組み換えにより細かい点は両親とは異なってきます。

 この多様性が生物存続に重要で、環境が変化する場合、その環境にあった個
体が存続できるようになり、繁栄する事が出来るわけです。

 性がなくなる生物種は絶滅への道をたどるという事ですので、性の重要性を
再認識した次第です。

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