肥満は悪いばかりではない:善玉コレステロールの高い人は乳癌になり

●肥満は悪いばかりではない:善玉コレステロールの高い人は乳癌になりにくい


 世の中では肥満は、目の敵とされていますが、必ずしも悪い事ばかりではな
いという、太り気味の人にはちょっと安心できるお話です。

 更年期以後の女性が一番気になるものに乳癌がありますが、肥満気味の人で
も、善玉コレステロール値が高い人では、乳癌になる危険率が低い事がわかり
ました。

 これは、ノルウェーTromso大学のAnne-Sofie Furberg博士らが、国立がん
研究所誌8月号(Journal of the National Cancer Institute, Aug. 4, 2004;
vol 96: pp 1152-1160.)に報告したものです。

 研究では、17歳から54歳のノルウェー女性4万人を対象として、乳癌の発生
率と肥満の関連を調べました。
 その結果、肥満体型でHDLコレステロールが低い人では、更年期後の乳がん
の危険率が高い事がわかりました。
 一方、更年期後の女性でも、肥満体質の人で同時に善玉HDLコレステロール
値が高い人では、HDLコレステロール値の低い人に比べて、67%も乳がんになる
危険率が低い事が明らかになりました。

 なお、若い女性の場合では、HDL値と乳がんの発生率の間に関係は見られま
せん。また、高年齢の女性でも、肥満でなく通常の体型の人でも、HDL値との
関係は見られなかったそうです。

 ちなみに、この調査で肥満と定義されている女性は、ウエストサイズが35イ
ンチ以上としています。

 この研究者等によると、更年期以後の人では脂肪組織内にエストロゲンが過
剰に作られるようになり、その結果として、乳がんになりやすくなるのではな
いかということです。特にHDL値の低い人では、このホルモンのバランスの崩
れにより、乳がんの危険率が高くなったのではないかと考えられるそうです。

 この報告では、“更年期以後の人は、血中HDL値を高くしておけば、肥満で
も安心”ということになりますが、肥満そのものは生活習慣病の元凶です。
 やはり、適正体重を維持する事が重要と思いますが・・・。

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