磁気ブレスレット:本当に関節炎に有効?
● 磁気ブレスレット:本当に関節炎に有効?
50肩やゴルフの後の腰痛によいと、磁気ブレスレットをしている方が私の周
りにも多くいます。しかし、この磁気ブレスレットの効果については、効くと
いう人と、あんまり効かないという人に分かれるようです。
そこで今日は、2004年に報告された、有効/無効それぞれの研究についての
話題です。
(1)痛み緩和の効果なし。単なる気のせい?
米国オクラホマ大のデビッド・ギャリソン博士が、米医学専門誌「アメリカ
苦痛管理ジャーナル」に発表したものです。
研究では磁石が痛覚神経を抑制するかを調べるため、49人の健康な人に磁気
ブレスレットを装着してもらい、プラセボの偽の磁石をつけた人との効果を比
較しました。
身体に軽く触れた時に感じる触覚が、磁気ブレスレットをつけた場合に弱ま
るかどうかを調べたところ、その効果は明確ではなかったということです。
この結果から、磁気ブレスレットは単なる精神的なプラシーボか、あるいは
ブレスレットを装着したという手首に与える圧迫により、痛みが軽くなったと
感じたもので、磁石自体の効果ではないとしています。
(2)実際に、腰痛や膝の関節痛に役立つ!
英国医学誌(British Medical Journal, Vol. 329 18-25 Dec. 2004)に
Tim Harlow博士らが報告したものです。
通常の強さの磁石(170-200ミリテスラ)のブレスレット、やや弱め(21-30
ミリテスラ)の磁気ブレスレット、及び磁性を帯びていないブレスレットの3種
について、疫学的に信頼のおける無作為割付比較対照試験を行ったものです。
比較的重度の変形性関節炎の患者さん194名(45-80歳、関節炎スコア(WOMAC
A score, 8-20)に、それぞれのブレスレットを12週間着用してもらい、その
後の関節炎の改善度を調べました。
その結果、通常の強さの磁気ブレスレットを使用した人では、関節炎スコア
が平均2.9改善していました。
一方、対照の磁気のないブレスレットを着用した人では1.6の改善度で、1.3
もの差があったそうです。ちなみにこの1.3の改善は、関節炎の最新の治療薬
であるCOX-2阻害剤とほぼ同様の効果とのことです。
また、治療効果を得るためには磁気の強度が一定以上ある事が必要で、磁気
ブレスレットと薬物治療を同時に併用すると効果が相加的に高まるとされてい
ます。
磁気ブレスレットは永久的に使用できますので、有効ならば治療コストを非
常に低く抑える事が出来ます。有効性が科学的に証明され、安心して治療に使
われるようになる事を期待しています。
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<心に効く、言葉のサプリメント>
今日は、磁石にちなんだ言葉です。
「私達は皆「動く磁石」だ。
今の自分と調和する、
人や、状況や、環境を引き寄せているのだ。」(Brian Tracy)
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