高容量のビタミンEを、心臓の悪い人が摂るのは危険

●高容量のビタミンEを、心臓の悪い人が摂るのは危険


 ビタミンEは抗酸化物資として人気の高いサプリメントですが、心臓病など
の持病のある人が、1日400IU以上のビタミンEを摂るのは有害であるという、
衝撃的な報告がありました。

 これはジョンホプキンス大学医学部のEdgar R. Miller博士が、米国心臓科
学学会(the American Heart Association's Scientific Sessions 2004,
New Orleans, Nov. 7-10, 2004)、及び内科学年会誌(Annals of Internal
Medicine、online edition)に発表したもので、サプリメント好きの米国で
衝撃的な話題となっています。

 報告によりますと、ビタミンE摂取による死亡率は、1日摂取量が150IU(国
際単位)から徐々に増加し、通常使用する400IU(α-トコフェロール換算で
267mg以上)では、ビタミンEを取っていない人より死亡率が約10%増加してお
り、更に2,000IUの高容量のビタミンEではそのリスクが20%以上だったそうで
す。
 現在のところFDAなどの政府機関によるビタミンE摂取のガイドラインはなく、
2000年に行われた米国医学研究施設の報告で、一日1,000IUを上限とすべきで
あるとの勧告があるだけです。
 しかし今回の研究者は、一日量として400IUを限度とすべきであるとしてい
るわけです。

 今回の報告は、今まで心臓病のリスクを低下させるといわれていただけに、
大きな波紋を起こしています。
 ビタミンEサプリメントは必要ないとしている、今回の会議の議長を務めた
メイヨークリニックのRaymond Gibbons教授は、“心臓疾患の患者さんには
ビタミンEは心臓発作の予防効果があるという証拠はなく、このような人は摂
らない方がよい”と述べています。
 Gibbons教授が行った、1万人の高脂血症の患者さんに対するコレステロール
値低下薬の効果を調べた研究では、660IUのビタミンE摂取した人は10%死亡率
が上昇していたということです。

 一方、サプリメント業界を代表する栄養食品審議会のAnnette Dickinson博
士は、“今まで報告のあった19の研究中18で、ビタミンEの摂取で死亡率が増
加したという統計的な証拠はない。また今回の研究も統計的に何らかの問題が
あると考えられる”と反論しています。
 Dickinson博士によりますと、これまでの19の研究例はすべて、既に病気に
なった人を対象としたもので、健康な人が心臓病になるのを防ぐ効果を調べた
ものは今までにないということです。

 さて、ビタミンEが人気がある理由のひとつに、ビタミンEを摂っている人は
心臓発作などの心疾患のリスクが低くなるとされている点があるのですが、科
学的な証明と言うよりはその多くは状況証拠的な側面から支持されているもの
です。
 実際、ビタミンEが危険であるとする説も多く、例えば出血の危険性が増し
て心臓発作の危険率が上昇するとか、高容量のビタミンEは抗酸化剤として体
内の有害物質を取り除くと同時に、酸化物質の前駆体を蓄積して有害物質を作
り出されるとの説もあります。
 また、高容量のビタミンEは他の抗酸化物質を排除し、体内で起こる正常な
抗酸化作用のシステムを乱すとの考えもあるようです。

 今のところ賛否両論があり、高容量のビタミンEを摂ると本当に危険なのか
は疑問なのですが、当面はあまり無理して沢山摂らないほうがよいように思い
ます。
 特に、ビタミンEサプリメントさえ摂っておれば、心臓病薬などを飲む必要
がないなどと誤解されませんよう。

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