夢の若返り薬が臨床試験に

<夢の若返り薬が臨床試験に>

ノーベル賞は今年も日本人が受賞できましたが、今後のノーベル賞候補にも成り得る、人類の夢である若返り薬の発明の話題です。

以前、老化を防ぐ夢のような成分としてNMN(ニコチンアミド・モノヌクレオチド)が発見され、実際にマウス実験で寿命も延びることが実証されていました。
今回はさらに進んで、人体への試験が開始されるというお話です。

論文タイトル: NAMPT-Mediated NAD(+) Biosynthesis Is Essential for Vision In Mice.著者: Lin JB等
医学誌名: Cell Rep. 2016 Sep 27;17(1):69-85. doi: 10.1016/j.celrep.2016.08.073. PMID:27681422

セントルイスワシントン大学と慶応大学が国内で臨床試験を開始する計画を発表したもので、先ずは10人の健康な人にNMNを投与して安全性の確認をした後、数年かけて体の機能の改善効果の有無を調べるそうです。
そしてその結果が良好なら、世界初のアンチエイジング薬品として登場することになります。
ワシントン大学の今井眞一郎先生は、NMNがサーチュイン遺伝子を活性化させることを発見したこの研究の第一人者です。
このNMN(βニコチンアミドモノヌクレオチド)は、加齢に伴い働きが弱まるサーチュイン遺伝子(いわゆる長寿遺伝子)に働きかけ、老化の速度を弱めると言われています。
サーチュイン遺伝子は、昆虫から哺乳類までほとんどの生物が持つ遺伝子なのですが、これを活性化させると寿命が20〜30%ほど延び、人間に応用すると寿命が100歳以上に延びることになるのだそうです。
実際、マウス実験では寿命が16%延び、糖尿病のマウスに1週間NMNを投与したら血糖値が正常になるなど、劇的な効果が得られています。
今後は、人間にも同じように作用するかどうかが実証されていくわけですが、夢の新薬として期待が非常に高まっています。