老化防止ミネラルのセレンを過剰に摂取すると2型糖尿病のリスク

<老化防止ミネラルのセレンを過剰に摂取すると2型糖尿病のリスク>


 セレンはミネラルの中の必須微量元素のひとつで ビタミンEと同じように抗酸化の働きをし、老化防止に働くミネラルとしてよく知られています。
 更に、がんの抑制作用や甲状腺ホルモンの活性化効果、或いは精子の運動性を高め妊娠率を上げる作用も知られています。

 このような作用があるために、最近サプリメントとしてよく使用されるようになっているのですが、過剰のセレン・サプリメントを摂取すると、2型糖尿病のリスクが増大する可能性が報告されています。

 これは、英ウォーリックWarwick大学医学部Saverio Stranges博士らが、米医学誌Annals of Internal Medicineに報告したものです。

 研究は栄養による癌予防試験(Nutritional Prevention of Cancer Trial)に参加した1,202人のデータを分析したものです。
 参加者の半数の人に1日200mgのセレンサプリメントを、残りの半数の人にはプラセボ偽薬を摂ってもらい、副作用等について7.7年にわたって調べました。
 その結果、セレン摂取群600人中58人、プラセボ群602人中39人が2型糖尿病を発症しており、セレン摂取すると2型糖尿病発症のリスクが約50%高くなっている事がわかりました。
 この結果から、セレンを過剰に摂取すると、糖尿病の原因になる可能性があるとしています。

 通常は、セレンは食事から十分な量が摂取されますが、過剰摂取時にはビタミンCの吸収を妨げることが知られています。
 実際、米国人の半数以上の人はマルチビタミン剤を服用しているのですが、そのマルチビタミンサプリメントのほとんどには、多くのセレンが含有されています。
 従って、セレンの過剰量を摂る可能性が十分に予想されるわけです。

 勿論、この結果だけで、セレンが糖尿病リスクを増大させるとは断定できませんが、サプリメントで摂取すると容易に過剰摂取になり得ますので、注意が必要です。

 また前立腺癌や肺癌などの癌予防サプリとしてもセレンは有望視されていますが、その効果を含め今後更なる研究が望まれます。