腰痛の治療に、瞑想やストレス低減が有効

<腰痛の治療に、瞑想やストレス低減が有効>

 長年苦しんでおられる腰痛持ちの人に良いお知らせです。
 腰痛の治療にはストレッチ療法で肉体的な改善を行うのが通常用いられるものですが、今回、心の治療、即ち瞑想法やマインドフルネス・ストレス低減法、あるいは認知行動療法が有効で、痛みを緩和する効果がある事が明らかになりました。
 これは、今年3月号の米国医師会雑誌(JAMA)に発表された内容です。

論文タイトル:Effect of Mindfulness-Based Stress Reduction vs Cognitive Behavioral Therapy or Usual Care on Back Pain and Functional Limitations in Adults With Chronic Low Back PainA Randomized Clinical Trial FREE
著者: Daniel C. Cherkin 他
医学誌名: JAMA. 2016;315(12):1240-1249. doi:10.1001/jama.2016.2323.

 研究では、平均7年腰痛で悩んでいる20〜70歳の患者さん342人を、無作為に3つのグループに分けました。
 そして一番目のグループには通常の治療法を、二番目のグループにはCBT療法(患者さん自身で悪い行動や否定的な考えを認識してもらい、それを解決するように促す認知療法)、そして三番目のグループには「マインドフルネス・ストレス低減法(MSBR)」とヨガを組み合わせた治療法を、それぞれ26週間にわたって行ってもらいました。

 なお、このマインドフルネス・ストレス低減法(MSBR)は、認知療法に瞑想を統合して心身の健康を主眼とした療法で、2014年に米タイム誌が「マインドフルの革命」として取り上げて以来、様々な医療分野に採用されるようになって来ています。

 この結果、MSBRとヨガを行った患者さん及びCBTによる治療を行った患者さんでは、通常の治療を行った患者さんに比べて、臨床学的に有意な改善がみられました。
データを見ますと、従来の治療法で改善がみられた患者さんは44%だったのに対し、CBTでは58%、MSBRとヨガを行った患者さんでは61%に改善がみられたとされています。
 論文では「これらの結果から、慢性的な下背部痛(腰痛)の治療の選択肢として、MBSRに効果があることが推測される」と結論しています。

 お医者さんに診てもらうほどの激しい症状ではなくとも、腰痛持ちの方は大勢いらっしゃいます。
 そのような方は是非、ヨーガや瞑想法を行い、ストレスの軽減を試みてください。