ストレスは多い方が、乳癌になりにくい

<ストレスは多い方が、乳癌になりにくい>


 生活をする上で、出来ればストレスのない方が望ましいと思うのですが、逆にストレスの多い生活をした方が乳癌になりにくい、という話題です。

 これは、コペンハーゲンにあるデンマーク国立衛生局のNaja Rod Nielsen博士らが、英国医学雑誌(British Medical Journal)に報告したものです。

 研究では、コペンハーゲン市で行われた心疾患に関する研究に参加した、6,689名の女性を対象にして行われました。

 研究は1981-83年に開始したのだそうですが、その時点での心配事の多さや、忍耐が必要な事、緊張の度合い、不眠などの日常のストレスについて調査し、次いで1999年までこれらの人の健康度を追跡調査しました。

 その結果、この18年間に251名の人が乳癌になり、その内で特にストレスが強いと感じていた女性では、ストレスをあまり感じないとした女性よりも、40%も乳癌になる頻度が低い事という結果が得られました。

 このストレスのレベルを6段階に分けて解析した所、レベルが高くなる毎に約8%づつ乳癌の発生率が低下していたということです。
 とくに、ホルモン補充療法を受けている人ではその差が大きかったとされています。

 この結果から研究者らは、ストレスが乳癌の発生因子であるエストロゲンの分泌を抑え、結果的に乳癌のリスクが低下したのではないかとしています。

 そして、ホルモン補充療法を受けているホルモン感受性の女性では、ストレスによってエストロゲンの抑制効果がより強く現れたのではないかと述べられています。

 海草を食べると乳癌になりにくくなりますが、その理由として体内のエストロゲンの量が下がったためとする説があります。 今回のストレスについても、それと同様の効果があるという訳です。

 ただ、このような考えは今のところ単なる仮説であり、今後更に詳細な研究が必要なのですが、もし本当ならばストレスも決して悪い事ばかりでないことになります。

 だからといって、過度にストレスを感じる生活が良いというわけではありません。例えばストレスの多い生活は、心疾患等の疾病のリスクが高くなることがよく知られています。

 どのようなストレスが乳癌発生の抑制に効果があり、またどのようなストレスが心疾患の発生に関係するかなどの研究が待たれます。