子ども用の吸入ステロイド薬が、身長の伸びに悪影響

<子ども用の吸入ステロイド薬が、身長の伸びに悪影響>


日本小児アレルギー学会は、子どもの気管支ぜんそくの治療で広く使われている吸入ステロイド薬について、使用の注意を喚起する声明を出しました(2014年2月25日発表)。

その理由は、副作用で子どもの身長の伸びを抑える可能性が海外で報告されたためだそうです。
ただし、治療そのものの効果は大きいため、使うのは必要最少量にすることを求めています。

小児ぜんそくには吸入タイプのステロイド薬がよく使われます。
しかし3年ほど前から、ステロイド薬を使用した子どもは身長の伸びが抑制され、その影響は成人した後も続くという報告が米国で相次いで発表されていました。

小児ぜんそく患者さん約950人を対象とした調査では、5〜13歳から吸入ステロイド治療を4〜6年間受けた子供は、この薬を使わなかった患者と比べて成人後の身長が平均1・2センチ低かったということです。

こうした報告を踏まえて日本小児アレルギー学会が声明を出したもので、身長の伸びに最も影響を受けやすいとされる乳幼児では、軽症ならばステロイド以外の薬を最初に使うように指摘しています。
その一方で、中等症以上の場合は年齢にかかわらず吸入ステロイドを最初に使うことが適切としています。
そして、少量から始めて効果を見極めていくようにとしています。

ちなみに以前からも、ステロイドの大量使用には、骨の成長を阻害するなどの副作用があることは知られていました。
しかし、副作用は少なく、また身長の伸びが一時的に抑えられても、成人になれば差はなくなると考えられていました。

今回の見解をまとめた浜崎雄平佐賀大教授によると、「吸入ステロイドは小児ぜんそく治療の根幹をなす薬。患者や保護者は自己判断で減量や中止をせず、担当の医師と相談してほしい」との事です。