魚油脂肪酸がインフルエンザを抑制

<魚油脂肪酸がインフルエンザを抑制>



今年のインフルエンザの季節も終わりに近づいてきましたが、次の流行に備えての話題です。

魚の油に含まれる脂肪酸に由来する物質が、インフルエンザウイルスの増殖を抑え、更に症状が悪化したときの治療にも効果があることが明らかになりました。

これは、秋田大学などの研究グループが有名医学誌セルに発表したものです。

論文タイトル:The Lipid Mediator Protectin D1 Inhibits Influenza Virus Replication and Improves Severe Influenza
医学誌名:Cell, 07 March 2013 (Available online 7 March 2013)
著者: Masayuki Morita 他

研究ではインフルエンザが重症化する過程を調べたところ、魚の油に含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)を基にして体内で合成された「プロテクチンD1」という物質が、インフルエンザウイルスの増殖を抑えることが分かりました。

さらに、重症のインフルエンザのマウスに、この物質と従来の抗ウイルス薬を投与したところ、抗ウイルス薬を単独で与えたマウスよりも生存率が高くなっていました。

即ち、症状が悪化したときの治療にも効果があることから、重症のインフルエンザの治療薬となりうると考えられました。


インフルエンザは重症化するとタミフルなどの抗ウイルス薬が効きにくくなり、有効な治療方法の開発が課題になっています。

また、最近ではタミフル耐性のウイルスに有効とされているリレンザにも耐性のウイルスが見つかり、問題となっています。

こうした状況下、今回の発見は、課題となっている重症のインフルエンザの治療薬の開発に繋がるのではないかと期待が寄せられています。