緑茶:HIV感染の予防に有効。

●緑茶:HIV感染の予防に有効。


 中央アフリカHIV蔓延は、本当に目を覆うほどひどい状況です。
 AIDSのために、平均寿命が30-40歳代となっている地域もあります。
 その根本はやはり貧困です。蔓延阻止のために、ODAなどを通してコンドーム
が無料で配られますが、人々はせっかく手に入れたコンドームを売り払ってし
まい、生活費に当ててしまいます。
 「エイズになっても数年は生きられる。お金を得なければ明日まで生きられ
ない」というほどの困窮した状況によるものです。

 このHIV感染は我が国でも深刻さが増しています。我が国の場合は貧困が原因
ではなく、セックスに関する無知によるもののようですので、事態はもっと悪
いのかもしれません。

 さて、コンドームの使用はHIV感染を瀬戸際で防ぐので非常に大切ですが、
緑茶成分にもそのような効果HIV感染予防効果があることがわかりました。

 これはSheffield大学のMike Williamson教授が、アレルギー及び臨床免疫学
誌(Journal of Allergy and Clinical Immunology)に報告したもので、緑茶
を飲めばHIVに感染することが予防され、HIVの流行自体も抑制する可能性があ
るとしています。

 HIVは人の身体に入ると、ヒトの免疫担当細胞であるCD4細胞に特異的に結合
し、中に入り込みます。そしてCD4細胞を破壊して免疫力を低下させます。
 遂にはさまざまな感染症にかかり易くなり、死に至るのがAIDSです。

 そこで研究では、最初の段階であるCD4細胞にHIVが結合する段階を抑える成
分を探しました。
 すると緑茶に多く含まれているエビガロカテキン・ガレート(epigallocatechin
gallate, EGCG)が特異的にその結合を阻止することがわかりました。

 予めEGCGがCD4細胞とくっついていると、その後に来るHIVの吸着を阻害する
のだそうです。すなわち、EGCGにはHIV感染を予防する効果があるという訳です。

 実は今までも、様々な物質が同様にHIV感染を抑えることが報告されています。
 しかし毒性が強かったり、あるいは高価であるために、実際の使用できるもの
はほとんどないのが実情です。

 もちろん、緑茶そのものの効果については今後更なる研究が必要ですが、緑茶
は安全であり、また安価に手に入ります。

 したがって、治療に役立つとか、感染を完全に抑えることなどは期待できない
かもしれませんが、現在のHIV蔓延の現状を見ると非常に重要な発見であると注
目されています。

 しかしこれは未だ初歩的な研究結果であり、今後更に詳しい研究が必要です。
 緑茶成分はこれ以外にも、心疾患の予防や痴呆予防に有効であることが知ら
れています。
 日本の誇る飲料だけに、今後の更なる研究が期待されます。


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