ココアを飲んで、痴呆を予防。

●ココアを飲んで、痴呆を予防。


 超高齢化社会の訪れにより、さまざまな問題が出てきています。中でも、痴
呆老人をめぐる問題が深刻で、とても他人事には思えません。
 これは単に日本だけの問題ではなく、世界中で痴呆予防の方法が捜し求めら
れています。

 さて、今回、ココアに含まれる抗酸化物質であるフラボノールが、脳の血流
を増やして脳機能を活性化し、痴呆の予防に有効であることがわかりました。

 これはノッチンガム大学のMacDonald氏らが、全米最新科学学会に報告したも
のです。

 パナマ諸島に住むクナ(Cuna)族の人々の間には、高血圧や痴呆が少ないこと
が知られているそうです。
 ところが、このクナ族の人が現地を離れて都市部に移住するとすぐに高血圧に
なってしまうことから、人種によるというよりも食生活が関係しているのではな
いか、と考えられていました。

 この民族は、パナマ原産のココアをよく摂りますので、ココアなどに多く含ま
れるフラボノールがに健康によい効果を与えるのではないかと、この研究者はメ
ボシをつけました。

 そこで、実際にボランティアの人にココアをのんでもらい、同時に核磁気共鳴
診断装置(MRI)を用いて脳機能を調べました。

 その結果、ココアを飲んだときには、脳の血流の動きが顕著に高まっているこ
とが明らかになりました。
 すなわち、実際にココア由来のフラボノールにより、脳の血液の流れがよくな
ることが示されたわけで、痴呆や高血圧、その他の様々な心疾患の予防に有効で
あると期待されます。

 今回は健康な人について調べたものですが、今後は痴呆患者さんについて、コ
コアの効果を調べる予定だそうです。

 ところで、チョコレートなどのココア製品にはあまりフラボノールは含まれて
いません。苦みがあるので通常は除去されるためですが、そのようなフラボノー
ルのあまり入っていないチョコレートを多く摂っても効果は期待できません。
 今まで邪魔者として取り除かれるフラボノールが、今後は脚光を浴びる可能性
がありそうとのことです。


 上の研究とは異なるのですが、Salk研究所のHenriette van Praag氏らは、フラ
ボノールの一種であるエピカテキン(Epichatechin)の効果について報告してい
ます。

 エピカテキンを餌に混ぜてマウスに与えたところ、マウスの記憶力が向上する
ことが、迷路テスト結果で分かりました。
 エピカテキンが脳にある海馬領域に作用し、記憶を高めるのではないかという
ことです。

 また、高齢者の血圧に対する効果を調べたものとしては、オランダで行われた
研究が知られています。
 それによりますと、毎日、フラボノールを含有するチョコレートを1/3枚食べる
と血圧が低下し、実際に死亡率そのものが低くなったという結果が得られている
そうです。

 しかし、チョコレートには糖分も多く含まれていますので、糖尿病の危険が高
まることが危惧されます。
 健康目的にチョコレートを食べるには、あまり糖分が入っておらず、代わりに
フラボノールが多く入っているものを選ぶ必要があます。


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