細菌入りのチューインガム
● 細菌入りのチューインガム
黴菌(バイキン）が混入したガムのことではありません。
先日、プロバイオテクスの話題をお送りしました（2006年9月5日号）が、今
回はプロバイオテクスの最先端とも言うべき話題です。
虫歯等の予防にと、プロバイオテクス細菌入りのチューイングガムが開発さ
れたというニュースです。
これはドイツの医薬品会社BASF社が発表したもので、虫歯予防に役立つ乳酸
菌を含む歯磨きやうがい薬も開発中との事です。
細菌入りのチューインガムと聞くと、ちょっと気持ちが悪く、あまり美味し
そうな感じはしませんが、ヨーグルト入りのチューインガムとすれば、そんな
に抵抗無く受け入れられそうです。
さて、プロバイオテクス(probiotics)とは、抗生物質(anitibiotics)に対
比される言葉で、生物間の共生(probiosis)を意味する生態学的用語です。
そしてよく用いられる“プロバイオテクス”としては、腸内フローラのバラ
ンスを改善することにより、宿主に有益な作用をもたらす生きた微生物、例え
ばビフィズス菌や乳酸菌が代表する菌株です。
虫歯の原因菌である、ストレプトコッカス・ミュータンス（ミュータンス連
鎖球菌, Streptococcus mutans）は歯の表面で発育するのですが、その際、
栄養分である糖分を分解して酸性物質を作り出し、そのため歯のエナメル質を
溶かし、虫歯の原因を作ります。
ところがここに乳酸菌がいると、ミュータンス菌の増殖が抑えられ、その結
果虫歯が予防されるというものです。
実際にBASFの研究者によると、乳酸菌を含むチューインガムをボランティア
の人に噛んでもらったところ、口内のミュータンス菌が大幅に減少したという
結果がえられているそうです。
来年2007年には、乳酸菌入りのチューインガムを口内衛生用品として発売す
る予定ということで、日本でもやがてお目見えするものと思います。
関係者によると、プロバイオテクス製品は今後益々増えると考えられるそう
です。
例えば、乳酸菌プロバイオテクスを身体の消臭目的にも使用するという研究
も行われているようで、バクテリアで出来た、脇の下の悪臭を抑える製品が出
廻るのもつい目の前だそうです。
細菌といえども、進化を果たした立派な生物です。今まで悪者扱いだった細
菌と人間との新しい関係が作られつつあります。
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