添い寝は危険:乳児の窒息死原因の5割

● 添い寝は危険:乳児の窒息死原因の5割

 睡眠中の乳児が窒息死する事故のほぼ5割が、親の添い寝が関係している、
というショッキングな事実が解剖学データの分析でわかりました。
昔、私達に子供ができた時、川の字になって添い寝したものですが、それが
悲劇の原因になるなんて想像するだけで身震いしてしまいます。
少しでもこのような悲劇がなくなりますよう、今日はその話題です。

この報告は、2006年3月11日神戸市で開かれた日本SIDS学会で、慈恵医科
大学の高津光洋教授らが報告したもので、添い寝にうつぶせ寝などの要因が重
なるケースが多く、添い寝の際は注意を、と呼びかけています。

研究では、1982〜2006年に同教室で異状死として解剖した1歳未満の
乳児184例のうち、睡眠中の窒息死47例の原因について、両親などからの
聞き取りを併せて分析しました。

この窒息死の47人は生後6か月以内が94%と大半を占めていたそうです。
このうち、親などの添い寝による「覆いかぶさり」によって、鼻と口の閉塞や
胸部圧迫が起こったと見られる例は49%で、その3分の2は「鼻と口の閉塞」
だったそうです。
鼻と口の閉塞はうつぶせで、しかも顔面を下に向けて寝かせているときに多く
起きていました。

これらの結果から、睡眠中の乳児の窒息死は、〈1〉柔らかな寝具〈2〉うつ
ぶせ寝〈3〉顔を下に向かせる〈4〉添い寝――などの要因が重なって起こる
ので、注意が必要という事です。

ちなみに、同様の研究報告は米国でもなされており、添い寝で赤ちゃんの窒息
死の危険率が40倍にも高まっているとの報告があります。

米国St. Louis大学のJames S. Kemp氏らは、1995〜1998年に窒息死した11カ
月未満の赤ちゃんについて、寝場所と死亡した時の状況を分析したもので、
Pediatrics誌に掲載されているものです(論文タイトル:Where Should Infants Sleep? A Comparison of Risk for Suffocation of Infants Sleeping in Cribs,
Adult Beds, and Other Sleeping Locations)。

これによりますと、ベビーベッドで寝ている赤ちゃんが窒息死するリスクは
10万人当たり0.63人だったのに対し、大人用のベッドで添い寝していた赤ちゃ
んでは10万人当たり25.5人となり、添い寝では窒息死リスクが40倍にもなると
いう事です。

かわいい赤ちゃんをこのような事で失うなんて、想像するだけで悲しくなって
しまいます。お子様をお持ちの皆様、充分にご注意ください。

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