喫煙する人は、関節リウマチになる危険性が高い

●喫煙する人は、関節リウマチになる危険性が高い

 国内でも約70万人もの方が、関節リウマチでお困りで、特に中年以降の女性
で多いものです。
 このリウマチの原因はいまだにはっきりしておらず、単に関節が痛くなるだ
けでなく、体全体を蝕む自己免疫性疾患の一つとされています。

 この慢性関節リウマチのなり易さは、遺伝的な因子によりある程度決まって
おり、ある種の遺伝的背景を持つ人では、危険率が高い事が知られています。
 その一方で、喫煙などの生活習慣により、自己免疫疾患になるリスクが高く
なることもよく知られています。

 今回、喫煙歴のある人ではリウマチになる危険率が高く、またその人の遺伝
的な体質とも密接に関係しているという論文を見つけましたので、その話題を
お送りします。
 これは、リウマチ学会誌10月号(Arthritis & Rheumatism, October 2004)
にスエーデンの研究者が報告したものです。
 研究では、関節リウマチの患者さん858名と、対象として健康な人1,048名に
ついて、採血して遺伝子検査を行い、その結果と喫煙などの生活習慣に関する
情報を調べました。

 リウマチ患者さんには、共通なタンパク質のエピトープ(shared epitope,
SE)の遺伝子がある事がわかっています。
 このSE遺伝子の数(コピー数といいます)が、患者さんによって異なり、よ
く悪性度の高い人ではコピー数が多くなる事が知られています。
 そこで、この研究者等は、SE遺伝子のコピー数と、煙草の喫煙歴との関係、
および疾患の度合いについて調べました。

 その結果、SE遺伝子が1個をもつ人で、喫煙歴のある人では、リウマチにな
る確率が7.5倍高いことがわかりました。
 SE遺伝子を重複して2個持つ人では、更にそのリスクが15.7倍にまで上昇し
ていたということです。
 また、SE遺伝子を1個持っていて、喫煙歴のない人では、リウマチの危険率
は2.8倍でした。
 更にSE遺伝子を全く持たない人でも、喫煙者ではその危険率は2.4倍に上昇
していたそうです。

 以上の結果から、遺伝的な素因に加えて、煙草の喫煙がリウマチ疾患の発症
に大きく影響している事がわかります。
 また、この研究結果は関節リウマチだけでなく、他の自己免疫疾患に対して
も重要な知見となると期待されています。

△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△

<心に効く、言葉のサプリメント

 「問題というものは、仕事という衣服をまとったチャンスに過ぎない」
                         (ヘンリー・カイザー)

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

 今日の話題は如何でしたか?

 ・既刊号は、ホームページ「http://www.drhase.info」をご覧下さい。

 ・メールマガジンをお届けしています。ご希望の方は、上記ホームページよ
  り登録なさってください。

 ・また、情報交換の場として、「http://d.hatena.ne.jp/Drhase/」のコメ
  ントコーナーもご覧下さい。