アーユルベーダ薬から有害重金属

●アーユルベーダ薬から有害重金属


 2,000年前にインドで始まった伝統医学アーユルベーダは、現在でもインド
人の約80%が病気治療に使用されており、米国でも75万人が愛用していると
いわれています。勿論、国内でもダイエットや癒しブームに乗って大人気と
なっています。

 ところが、今回アーユルベーダに使用する薬の20%に、鉛、水銀、砒素な
どの有害重金属が含まれていたという話題です。

 これは、米国医学会誌(the Journal of the American Medical Association、
Dec. 15, 2004)にボストン大学医学部のRobert B. Saper博士が、ハーバ
ード大学医学部でおこなった研究結果を報告したものです。

 発端は、ある心臓発作の患者さんの血液をたまたま調べたところ、鉛含有
量が通常の40倍以上あることがわかったことから薬歴を調べたところ、この
人は日常アーユルベーダの関節治療薬グーグル(Guggulu)を6年間使用して
いたのだそうです。
 そこで市販のアーユルベーダ薬を分析したところ、鉛、水銀、砒素が高濃
度に含まれているものが多くある事が分かりました。

 また、この研究者が1978年以来の医学文献を調べたところ、アーユルベー
ダ薬を使用して重金属による中毒症状の報告が50以上あり、乳幼児の死亡、
無力症、聴力障害、精神疾患などが報告されていました。

 そこで、ボストン周辺のアーユルベーダ薬販売店から70種の製品を買って
分析したところ、70品中14製品に、鉛、水銀、砒素などが含まれている事が
わかりました。
 内訳は、13製品に鉛、6製品に水銀、またその外の6製品にも砒素が含まれ
ていたそうです。
 また、30店舗中24店が、これらの重金属含有のアーユルベーダ製品を売っ
ていました。
 重金属が製造過程でたまたま混入しただけなのか、それとも意図的に入れ
られたものは不明ですが、原料か製造工程に問題がありそうという事です。

 医薬品が出来るには、原料の品質や製造方法を定めた、非常厳しい製造基
準(GMP)が設けられています。この基準に適合しないものは医薬品として市
場に出ないように、国が監視しているのですが、その一方でアーユルベーダ
薬はサプリメントの一種と考えられているため、医薬品のような厳しい基準
が適用されていません。
 そのため、原料や製造工程で重金属が混入した可能性が高いようです。
 国内の医療機関で使用されるアーユルベーダ薬はキチンと管理されている
ものですが、インターネットなどを通して海外から直接入ってくるものには、
問題がある場合も考えられます。

 現在、サプリメントに対してもGMPを適合させるために、米国食品医薬品局
FDAが法的な整備を行っているという事です。
 アーユルベーダは補完医療として期待されているものだけに、我が国の厚生
労働省を含め各国での、一刻も早い整備をお願いしたいものです。

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