欧米男性の精子数40年で半減

<欧米男性の精子数40年で半減>

少子化が進む日本、色々な原因が考えられるのですが、その一つに男性の精子数の減少があげられています。
どうもこの現象は先進国に共通のようで、北米、欧州、オーストラリア、ニュージーランドなど、先進諸国の男性の精子数が40年で半減しているとする研究が発表されています。
これは、欧州ヒト生殖医学会(ESHRE)の学術誌「Human Reproduction Update」に掲載されたもので、1973年〜2011年に実施された過去の研究185件で収集された男性4万3000人近くのデータを再調査した結果、精子濃度の「著しい低下」が明らかになったとされています。

・論文タイトル: Dietary patterns, foods and nutrients in male fertility parameters and fecundability: a systematic review of observational studies
・著者: Albert Salas-Huetos 他
科学誌名: Human Reproduction Update, Volume 23, Issue 4, 1 July 2017, Pages 371–389,

それによりますと、精液1ミリリットル当たりの精子数を調べたところ、この40年の間に9900万個から4700万個へと52.4%減少したそうです。
ところで精子数をめぐっては論争が続いており、これまでに行われた多くの研究でも「減少している」と主張するものと「していない」とするものとで結果が分かれています。
そのため今回の最新研究では、潜在的な外的影響因子を排除しており、さらに精子濃度を「血球計算盤」と呼ばれる機器で測定した研究結果だけを用いていますので、やはり精子数の減少は事実のようです。

それでもこの減少後の数字は、世界保健機関(WHO)が最低基準限度値とみなす1ミリリットル当たり1500万個を上回っており、必ずしも不妊症になるとは限らないとの事で、やや安心です。
従って、これらの結果は必ずしも少子化の原因とはいえないようですが、それでも精子数の減少は農薬中毒などの環境要因や、ストレス、喫煙、貧しい食生活などの生活要因に起因する潜在的な健康問題を反映していることが考えられるそうです。
ちなみに他の研究によると、南米、アジア、アフリカなどでは精子数の有意な減少はみられないとの事ですので、先進国特有の問題なのかもしれません。