飛行機内で、ウイルス感染を防ぐにはどこの座席がよい?
<飛行機内で、ウイルス感染を防ぐにはどこの座席がよい?>
武漢で発生した新型コロナウイルス感染による死者は、中国で130名を超えてしまいました(1月29日現在)。
中国当局によると今後さらに爆発的に増え続け、感染・発症のピークは4月以降で、事によると東京オリンピック期間も継続しているという、怖い予想もあるようです。
外出時はマスクはもちろん、人込みそのものさえも避ける事が必要になるかもしれません。
しかし、仕事などではそうも言っておられませんね。
そこで今日は、「飛行機で感染したくなければ通路側の席は避けるべし」という話題をお送りします。
密室で数時間を過ごす飛行機の旅では、どの「列」の座席に座るかによって、感染の危険度が変わるとする、実際の機内で調べた研究結果が報告されています。
これは、アリゾナ大学の微生物生態学者であるチャールズ・ジェルバ氏らが、米国科学アカデミー紀要(PNAS)誌に報告したものです。
研究では航空機のエコノミー席を中心に、大陸横断路線の米国機10機の乗客1,540人と乗務員41人の全員について、座席を離れた回数、離れていた時間などについて調べました。
その結果、飛行中に一度も席を離れなかった乗客は全体の38パーセント、一度だけ席を離れた乗客も38パーセント、残りはそれ以上の回数で席を離れる事が分かりました。
最も頻繁に席を離れたのは通路側に座る乗客で、次に頻度が多かったのは中央の座席、次に窓側の座席に座る乗客で、通路側に座る乗客がほかの乗客と接触する頻度は、窓側の座席の乗客の5倍以上だったそうです。
これらのデータ―を元にシュミレーションしたところ、通路側の人はウイルス感染のリスクが非常に高い事が明らかになりました。
また、本人が席を離れる時だけでなく、トイレなどで乗客が機内を歩くとき、通路でよろけないようにと通路側の座席が支えに使われます。
特に、トイレはしじゅう人が出入りする場所で、手入れが行き届いておらず、ウイルスや大腸菌がうようよしていますが、その汚染や感染も通路側の座席は受けやすくなります。
ところで、米国疾病管理予防センター(CDC)や世界保健機関(WHO)は、感染している乗客がいれば、その乗客の席から2列以上離れていると感染する危険性も低いとしています。
これは、感染者の唾液や粘液を媒介として伝染する飛沫感染のほとんどは、1m以上の距離まで飛ぶことはほとんどないためだそうです。
しかし、トイレなどで乗客が機内で動き回る場合は、感染の危険は自分の座席を基準とした範囲の外まで広がることになり、必ずしもこの「2列以内の法則」はあてはまらなくなります。
また、旅行者同士が触れ合う機会は機内での接触は以外にいくらでもあります。飛行機に乗るときや降りるとき、搭乗ゲートで待っている間や税関を抜けるときでも、感染する可能性があります。
やっぱり、ウイルス感染が蔓延している時は外出そのものを避けるのが賢明なのですが、先ずはそのような状況にならない事を祈るばかりです。