「老兵は死なず。消え去るのみ」ではないアリの世界:年寄こそが・・

<「老兵は死なず。消え去るのみ」ではないアリの世界:年寄こそが・・・。>

新年おめでとうございます。
平成も今年で終わります。昭和もますます遠くなっていきます。

さて、「老兵は死なず。消え去るのみ」とは、マッカーサートルーマン大統領により解任をされた際、米議会で演説した「 Old soldiers never die, but fade away」の日本語訳です。
「後任にすべてを譲り、さわやかに身を退きたい」という意味との事ですが、シロアリの世界ではそんな弱気ではないようです。
シロアリの軍隊では、若い「新兵」は王室近くで近衛兵の役割を担わせて教育を行い、その間「老兵」は死ぬリスクが高い最前線で最後まで戦い続けるのだそうです。
これは、京都大の松浦健二教授(昆虫生態学)らの研究グループが、英国科学誌に発表したものです(2018年3月7日)。

研究では、野外で採取したシロアリの女王アリや働きアリ、兵隊アリを人工的に作った巣に入れて観察しました。
ちなみに、兵隊アリは巣の防衛に特化した役割を担い、一部の働きアリが脱皮して兵隊になってから約5年間生きるとされています。
脱皮したばかりの新兵アリと脱皮から1年以上たった老兵アリの関係を調べたところ、女王アリの王室がある巣の中心部付近に新兵アリが集中していたのに対し、離れた場所は老兵アリが多かったそうです。
即ち、余命の短い高齢のシロアリが死亡リスクの高い仕事を引き受け、若い命の損失を防ぐことで、「シロアリ軍全体として存続を期す」という事です。
また、シロアリの老兵と新兵では外敵に対する攻撃力そのものには差はないのですが、老兵の方が積極果敢に天敵を攻撃することも別の実験で分かったそうです。
以上の結果から、老兵が死亡リスクの高い仕事を引き受けることで若いアリの命を大切にし、シロアリ軍全体による分業で群れ全体の維持を図っている、と考えられるそうです。

凄いですね。なかなか人間の世界ではそうは行きませんよね。