ヒトへの臓器移植用ブタの作成

<ヒトへの臓器移植用ブタの作成>
 
臓器移植では移植用の臓器不足が大問題で、特にヒトの臓器を使用する場合には、ドナーの脳死判定の議論を巻き起こす事になります。
このような問題を解消する手段として、ニュージーランドやロシアなどでは臓器の機能が人に近いブタの臓器を用い、人へ移植する事が200例以上行われています。
しかし、国内での実施例はありませんでした。

ところが、明治大や京都府立大などのチームがそのような人への移植用のブタを作製に成功したとして、大阪府吹田市で開かれた2018年度日本異種移植研究会で発表しました。

それによりますと、"人への移植用の臓器を持つ豚を作成するため、まず出産間際の母豚から子宮を取り出し、無菌室で子豚を人工乳で飼育します。次にこの子豚の膵臓や肝臓などの臓器のウイルス検査を行い、その検査に合格した豚から臓器を取り出し、患者さんに移植する“という流れになるのだそうです。

このような異種動物からの臓器移植に関する問題としては、動物のウイルスなどが移植された人に感染しないかという心配があり、厚生労働省は2016年に移植用動物の作製法などを定めた指針を改定しました。

そこではブタは隔離した清潔な環境で育て、約40種類のウイルスの検査にパスする事が必要で、人への感染を防ぐなど安全性を確保するよう求めているのですが、明治大の報告はそれに成功したという訳です。
近く、民間企業と共同でブタの供給を始める方針だそうです。