ペット犬には、ヒトの自閉症と似た遺伝的特徴がある

<ペット犬には、ヒトの自閉症と似た遺伝的特徴がある>

 ペットショップで、秋田犬の子犬が20万円もの値が付いていました。
 フィギュアスケート女子の金メダリスト、ロシアのザギトワ選手に贈られて以来大人気のようですが、変にペット化した子犬に比べ、昔からの犬らしい顔つきで、私も好きです。

 さて、ペットの犬には、ある発達障害の人々と共通の遺伝的類似性がある事が分かりました。
 元々、人を襲うオオカミが犬の先祖なのにもかかわらず、犬が人のペットになったのは「自閉症の対極」として知られるウィリアムズ症候群という人の発達障害と関係している可能性があり、犬が数千年前にオオカミの祖先から進化して家畜化した原因と考えられるそうです。

 これは米プリンストン大学のBridgett vonHoldt博士らのグループが、米科学誌「サイエンス・アドバンシズ(Science Advances)」に発表したものです。
 それによりますと、ウィリアムズ症候群の人々にみられる極端な社交性に関連した2種類の遺伝子の変異が、犬にも存在することが分かりました。

 研究では飼い犬18匹と、より祖先のオオカミに近いハイイロオオカミ10匹について、箱に入った食べ物を取り出す必要が生じた時に、同じ部屋にいる人に対しどの程度助けを求めるかを比較しました。
 その結果、オオカミは自分で食料を取り出せる場合が多かったのに対し、犬は近くにいる人を恨めしそうに見つめていることが多かったそうです。
 次にオオカミと犬の血液の遺伝子解析をしたところ、犬のGTF2IとGTF2IRD1という2つの遺伝子に変異があることが明らかになりました。
 これらの変異は犬が社交性を持つに至った事に関連し、この変異が犬とオオカミを隔てた家畜化の主要因であると考えられています。
 さらにこれらの遺伝子は、人のウィリアムズ症候群の極端な社交性との関連性が指摘されている遺伝子でもあったたそうです。

 今回の発見が、人のウィリアムズ症候群とどの程度関係があるかは今後さらに研究が必要ですが、思わぬところから人の発達障害の解決の糸口が見えるかもしれませんね。