鎮痛薬を飲む男性には、子供ができにくくなる?

<鎮痛薬を飲む男性には、子供ができにくくなる?>

 少子化は日本に限らず多くの先進国の悩みの種ですが、私たちが日ごろ服用している市販の鎮痛薬に男性不妊が起こりやすくなる成分が含まれていることが分かりました。
 これはフランスとデンマークの研究チームが、米科学アカデミー紀要(PNAS)に発表したものです。

 この研究チームは、世界各国で市販の鎮痛薬の成分として使われているアスピリンアセトアミノフェンイブプロフェンの3薬品について、妊婦が服用した場合の影響を調べていました。
 今回さらに、成人男性への影響についても研究を始めたところ、これら3薬品とも男性の睾丸に影響を及ぼす可能性が示唆されたため、特にその中で最も強い影響が確認されたイブプロフェンについて詳しく調べたそうです。

 研究では18〜35歳の男性31人を対象に、14人には600ミリグラムのイブプロフェンを1日2回、服用してもらう事にしました。
 ちなみにこの量は、スポーツ選手が痛み止めに服用する量に相当するそうです。そして、残る17人には対照として偽薬を服用してもらいました。
 その結果、生殖機能が低下する中年期のようなホルモンの状態になることが分かりました。
 即ち、イブプロフェンを服用した男性は14日以内に、黄体形成ホルモン(下垂体から分泌され、睾丸を刺激して男性ホルモンのテストステロンを生成する)が、イブプロフェンの濃度に反比例して減少し、睾丸の機能不全の兆候が確認されました。
 さらに、ホルモンバランスの攪乱がおこり、生殖障害やうつ、心血管系疾患のリスクが上昇していることが明らかになったそうです。

 以上の結果から、若い男性が長期間イブプロフェンを服用した場合、若い男性の生殖ホルモンを撹乱して男性不妊を発症させる可能性があるとされています。
 そして、生殖能力の低い男性の場合ではさらに大きな影響が出る可能性もあり、子どもを持つ予定の男性は、数カ月間は薬品の使用を控えた方がいいとミズーリ大の研究者は指摘しています。
 ただ、短期間にイブプロフェンを服用した場合であれば、例え影響が出たとしても、元の状態に戻ることができると考えられるそうで、やや安心です。
 しかし、日本に限らず先進各国で男性の精子の数が激減しているという調査結果があり、また怖い事にほとんどの医薬品は男性の生殖機能に及ぼす影響などは調べることなく流通していますので、気になります。