胃腸薬の長期服用は、死亡のリスク
<胃腸薬の長期服用は、死亡のリスク>
プロトンポンプ阻害薬と云うお薬をご存知ですか?
胸やけの原因である逆流性食道炎、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、ピロリ菌除菌のときによく用いられるもので、処方箋がいらない一般薬としても出回っています。
ところがこの身近な胃腸薬を長期使用すると、死を招くという論文が発表され、大きな反響が出ています。
これはワシントン大学の研究者らが、退役軍人の薬剤処方記録を用いて、胃酸抑制効果の高い「プロトンポンプ阻害薬」(PPI)を服用した約27万人と、市販の胃薬に使われる「H2ブロッカー」を服用した約7万人を追跡調査した結果わかったものです。
その結果、PPIを服用した患者が服用後から5年間で死亡する割合は、H2ブロッカーの患者に比べて25%高い事が明らかになったそうです。
PPIの胃酸抑制効果はH2ブロッカーより強く、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、抗凝固剤を使う患者の消化管出血予防などに幅広く使われています。
しかし、胃酸を強力に抑制するために殺菌力が低下して胃の中で細菌が繁殖しやすくなって感染症に罹りやすくなったり、細菌の逆流によって誤嚥性肺炎を招く怖れがあります。
また、胃酸の分泌が低下するとカルシウムの吸収力が落ちるため、骨粗鬆症を引き起こして骨折をするリスクが上がるともいわれています。
それ以外にも、プロトンポンプ阻害薬で心臓発作のリスクが増加するという論文や、血管の老化が加速する、或いは慢性腎疾患との関係も指摘されています。
一般的な胃潰瘍の場合、PPIを服用すれば2か月程度で回復しますが、それ以上服用が続いている場合には医師や専門家とよく相談なさってください。
「クスリはリスク」という言葉を思い出してくださいませ。