軽いたばこは、却って肺腺がんを増加させる

<軽いたばこは、却って肺腺がんを増加させる>

 たばこのフィルターの周りに穴をあけ、空気を吸い込んで煙を薄めるとされてきた、いわゆる「軽いたばこ」は、実は肺腺がんの増加の要因だったというお話です。
 これは米大学の研究グループが、専門医学誌ジャーナル・オブ・ザ・ナショナル・キャンサー・インスティテュート(JNCI)に発表したものです。

論文タイトル: Cigarette Filter Ventilation and its Relationship to Increasing Rates of Lung Adenocarcinoma
著者: Min-Ae Song, 専門誌名: J Natl Cancer Inst (2017) 109 (12): djx075.DOI: https://doi.org/10.1093/jnci/djx075

 肺腺がんは一般的な肺がんの一つで、多くの場合、肺の奥の方で発生します。喫煙者減少に伴い、他の種類の肺がんの発症数は減っているのですが、残念ながらこの肺腺がんに関しては、発症数は増加していました。

今回の論文によりますと、肺腺がん患者の増加の原因として、軽いたばこでより多くの煙を吸い込むためとしています。
 そして、フィルターの穴でたばこの燃え方が変わり、より多くの発がん性物質を生み出し、肺腺がんが多く発生する肺の奥の方まで煙が到達するようになるとも述べています。
 またこれは、過去20年に見られた肺腺がんの発症数増加の明確な関連性を示唆しているそうです。
 米国のたばこメーカーは、約50年前からフィルターに穴を開けたたばこを販売し、「軽いたばこ」「タールの量が少ない」とアピールしてきたのですが、論文では「軽いたばこは、実際はより多くの害を及ぼし、重いたばこよりも健康に良いとは限らない」と結論しています。

 やはり、きっぱりと止めた方が賢明かも・・・。