カルシウムが睡眠の時間を決める

<カルシウムが睡眠の時間を決める>

 今年も今週だけになってしまいましたが、皆様にとって2016年はどんな1年だったでしょうか?
 さて、メルマガ「Dr.ハセのクスリとサプリメントのお役立ち最新情報」が、まぐまぐ大賞2016を受賞することが出来ました(http://www.mag2.com/)。
 これからも健康維持に役立つ情報をお送りいたしますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 では今日の話題です。
 「最近どうも長時間の睡眠がとれない。寝つきはいいのだが、すぐに目が醒めてしまう」などのお悩みはありませんか。
 実は他人ごとではなく、私自身が今悩んでいることです。
 ところが、この睡眠時間の長さは、脳の神経細胞に出入するカルシウムで制御されていることが明らかになりました。
 これは、上田泰己東京大教授らがマウスで突き止めたもので、米科学誌ニューロンに発表したものです。

・論文タイトル: Involvement of Ca2+-Dependent Hyperpolarization in Sleep Duration in Mammals
・著者: Hiroki R. Ueda他
・医学誌名: Nuron, Volume 90, Issue 1, p70–85, 6 April 2016

 体内のカルシウムは骨の主成分であることはよく知られていますが、カルシウムはイオンの状態でも存在しており、筋肉や神経などさまざまな細胞の働きを調整する働きがあります。
 そこでチームは、睡眠時に生じる特有の脳波にも、カルシウムイオンが関与しているのではないかと考えました。
 
 実験では、神経細胞にカルシウムを取り込むことが出来ないようにしたマウスでは、睡眠時間が1〜2割短縮していることが分かりました。
 また、逆にカルシウム排出の働きを抑え、カルシウムが長時間体内に存在するようにした場合は、1割ほど長く眠るようになったそうです。
 今後さらに詳しく解明し、不眠症睡眠障害が関係する精神疾患などの治療に役立つ可能性があるという事です。

 という事で、私もカルシウム摂るようにします。
 ただ、カルシウムの過剰摂取は、尿路結石、ミルクアルカリ症候群、他の無機質の吸収抑制、便秘症などの原因になりますので、特にサプリメントの場合は要注意ですよ。