学歴を決める遺伝子

<学歴を決める遺伝子>

貧困家庭に育った人でも、学問の世界で成功した偉人と云われる人が大勢いらっしゃいます。
こういった人は、必ずしも学歴が高い人ばかりではありません。
しかし、人の学歴は遺伝的な影響も強いことが確認されたという話題です。

これは、米国南カリフォルニア大学(University of Southern California)のダニエル・ベンジャミン(Daniel Benjamin)教授らが、英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載したものです。

論文タイトル: Genome-wide association study identifies 74 loci associated with educational attainment
著者: Aysu Okbay, Daniel J. Benjamin他
科学誌名: Nature Volume:533, Pages:539–542 Date published: 26 May 2016 
DOI:doi:10.1038/nature17671

研究では、高学歴あるいはあまり学歴がない人について、遺伝子を調べました。

その結果、人の学歴をある程度決定する74の遺伝子を特定し、学歴はこれらの遺伝子にどのような変異があるかで決まるという事です。
ただし遺伝子が学歴に与える影響は、食生活や家庭環境、機会などの環境要因と比べるとごくわずかで、その割合は0.5%にも満たないとの事です。
しかし、意志の強さや議論が好きといった性格に関係する遺伝子が、教育の成果やその人の学歴を左右するというのは十分に考えられます。
さらに、影響が大きい遺伝子変異に関しては、遺伝子のコピーを二つ持つ人はコピーを持たない人に比べて、就学期間が平均9週間も長くなっていたそうです。
ただしこの研究チームは、遺伝子のプロファイルによって差別が生じる事を懸念しており、遺伝子を学歴や知性と直接結びつけるべきではないと述べています。
その一方で、今回の研究結果によって、遺伝子が人間の行動に与える影響は、環境によってどのように変化するかを理解につながるとしています。