初体験: 早すぎても遅すぎてもダメ

<初体験: 早すぎても遅すぎてもダメ。>


 今日は山の日、お盆連休、あるいは夏休みの始まりという人も多いと思います。
さて、夏休みになると毎年決まって話題となるのが、青少年のセックスと性感染症です。
 特に最近、性感染症に罹る若者の数が増えていますが、性に関するモラルの低下、或いは若年化によるものであり、早期の性教育の重要性が叫ばれている理由になっています。
 性的知識がないままに、初体験をしてしまうのが原因というわけです。
 そのため性教育では、もっと肉体的に、また精神的に成熟してから体験するようにと薦めるのが常となっているようです。

 ところが、セックスを始める時期が早すぎても、或いは逆に遅すぎても、その後の人生に於ける性的健康にリスクがおこりやすいそうです。

 これは、コロンビア大学のTheo G.M. Sandfort博士のチームが、米国公衆衛生医学誌American Journal of Public Health誌に報告したものです(American Journal of Public Health)。

 研究は1996年以来行われてきたもので、8,000人以上の成人を対象とした調査です。
 この調査結果によると、最初に性体験する年齢は、男女とも平均17-18歳でした。
 そこで、この研究では14歳以前を早期体験者、22歳以後を後期体験者と定義し、それぞれの群での性感染症、或いは性的不能などの性関連の疾病の比較を行いました。

 その結果、早期体験者では、性感染症(STD)になるリスクが高いことが確認されました。
 一方、後期体験者では性機能に問題が生ずるリスクが明らかになりました。
 オーガスムに達しなったり、勃起出来なるったりするなどの問題が生じやすくなるそうです。

 勿論今回の調査だけでは、性体験の時期の差が原因なのか、結果なのかは明らかではありません。
 即ち、後期体験のために性的問題が生じやすいのか、あるいは性的問題を持つ人が後期体験者なのかは分かりません。
 しかし、この研究者は、現在なされているような性教育である“我慢教育”は、ある種の健康問題を起こす可能性があると強調しています。

 そして、性感染症のリスクのみを考えて性体験をセーブすることは、性的機能の成熟を妨げる可能性があり、異性に対する対人関係をぎこちなくさせたり、パートナーとの性生活に不満を生じさせる可能性があると述べられています。

 特に保健関係者の間では、“性教育性感染症の予防”との見方が強いのですが、性教育は単に若者の性を抑制することではなく、全人的な健康上の問題として捉える必要がありそうです。