学歴と自殺の関係

<学歴と自殺の関係>

 2015年の自殺者総数は2万4025人で、男性が全体の69.4%だそうです。
 また年齢順では40代、50代、60代の順に多く、職業別では無職、被雇用者、自営業、学生となっています。

 今回さらに、学歴の低い人ほど自殺のリスクが高いことが分かりました。
 この関係については欧米では以前から指摘されていたそうですが、日本でも当てはまるようです。
 これは、国立がん研究センター大阪大学大学院医学系研究科、大阪医科大学の共同研究チームが明らかにしたものです。

 論文タイトル: Suicide, Socio-economic Inequalities, Gender, and Psychiatric Disorders Commentary: Educational Levels and Risk of Suicide in Japan: The Japan Public Health Center Study (JPHC) Cohort I
 著者: Eiji Yoshioka他
 医学誌名: J. Epidemiol. 2016 (26) June 05, 2016 P277-278

 研究は、疾患と生活習慣の関係を調査するために10年以上追跡調査しているJPHC研究のアンケート調査のうち、岩手、秋田、長野、沖縄の40〜59歳以上の男女4万6156人のデータを解析したものです。
 1990年から2012年までの期間の自殺リスクと最終学歴の関係を調査したところ、最終学歴が大卒か院卒の男性では、中卒の男性に比べ、自殺リスクが53%低下していることが分かりました。
 女性の場合も同様に、最終学歴が高卒の場合では中卒よりも自殺リスクが56%低く、特に調査開始時40代だった女性では、高卒の自殺リスクが中卒に比べ80%以上低下していたそうです。

 なおこの調査では、被験者の脳卒中、虚血性心疾患、がんの既往歴や自己申告のストレス状態、アルコール消費量、喫煙の有無、配偶者の有無、雇用状況といった条件が考慮されており、かなり信頼できるもののようで、気になります。