太り過ぎの子供は、成人後に肥満・心疾患・死亡リスクが高い

<太り過ぎの子供は、成人後に肥満・心疾患・死亡リスクが高い>

 
 近年、学校や地域のクラブ活動に精を出すスポーツ少年が多くなった事は喜ばしいのですが、その一方で、運動嫌いで家に引きこもっている肥満体の少年も多くなってきているようです。
 そこで今日は、やっぱり少年時代の太り過ぎはよくないというお話です。

 子供の時期に太り気味の人は、将来成人になっても肥満になりやすく、特に若いうちに心疾患で死亡するリスクが高い、という医学専門誌New England Journal of Medicineに報告された論文2つをお知らせします。
 
1)コペンハーゲンでの調査例:
 1930〜1976年に小児だったデンマーク人約27万7,000人(コペンハーゲン在住児童)を対象としたものです。
 その結果、7〜13歳の時点でBMIが高かった男児、および10〜13歳で高かった女児では、成年期に心疾患が生じるリスクが高いことが明らかになりました。
 例えば、13歳の少年の体重が平均よりも11.2kg重い場合には、60歳前に冠動脈疾患になるリスクが33%高かったそうです。

2)コンピューターモデルを用いた、推計例:
 2000年の時点で過体重の青少年の数を基に、成年期で過体重となる数を推定したものです(米カリフォルニア大学サンフランシスコ校Kirsten Bibbins-Domingo氏らの報告)。
 それによりますと、今のティーンエイジャーが35歳になる2020年には、男性の37%、女性の44%が肥満になると予測されたそうです。
 このため、2035年までに、この年齢集団内で心疾患による死亡は5,000人増、心臓発作、心不全などの患者は4万5,000人増と考えられ、肥満による冠動脈性心疾患の死亡者数は19%増大する可能性があるそうです。

 以上を考え合わせると、現在の子供たちが働きざかりとなる時点では、心臓疾患の入院患者、長期的薬物療法が必要な患者、或いは死亡数の増加が予想されます。

 日本では少子化のために、将来働き手が少なくなる上に、その大事な働き手が不健康となっているようでは、ますます日本の将来が暗くなります。
 是非とも国を挙げて、肥満対策を講じていただきたいと思います。