幸せと感じるのも遺伝子の一作用

<幸せと感じるのも遺伝子の一作用>

私たち人間は、幸せを求めて日々の生活を送っています。
ところが、幸福感や失望感は遺伝子で決まる事が、30万人調査で明らかになったそうです。

これは、科学誌ネイチャー・ジェネティクス誌に先ごろ掲載された論文に記載されているものです。
論文タイトル:Genetic variants associated with subjective well-being, depressive symptoms, and neuroticism identified through genome-wide analyses
科学誌名:Nature Genetics (2016) doi:10.1038/ng.3552, Published online 18 April 2016
著者:Aysu Okbay 他 

研究はベイラー医科大学付属テキサス小児病院が中心となって、17か国から190人を超える研究者が参加し、ゲノムデータを分析したものです。
それによりますと、主観的幸福に3つの遺伝的バリアント(多様性)が同定されました。
ちなみに、この主観的幸福とは私たちが自分の生活の質に関して持つ思考や感情のことで、心理学においても「幸福感」の中心的要素であると定義されているものだそうです。
また今回の調査では、うつや神経症的傾向との関連があるバリアントも特定されています。

調査は「最新の統計解析手法を用いてメタ解析を実施」したもので、「主観的幸福のほか、抑うつ症状と関連のあるバリアントが出現する2つの遺伝子と、神経症的傾向とかかわる11の遺伝子を特定した」とされています。
しかし、幸福感がすべて遺伝子に支配されているというわけでなく、「遺伝的特徴は心理的特徴に影響を及ぼす一つの要素にすぎない。」とされています。
そして、この「心理的特徴には、環境が遺伝的特徴と同程度の影響度を有し、さらに環境と遺伝的特徴もお互いに影響しあっている」と述べられています。

今後は、環境と遺伝的影響がどのように相互作用しているかを明らかにすることが重要とされています。
そして将来的には、人によって異なる思考傾向が何故現れるかが明らかになるそうです。

要は、「幸せと感じるのも遺伝子の作用だけれど、それには環境が大きく関係しています」という訳で、まずは常識的な答えかと・・・。